- 著者
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永野 忠聖
岩下 香織
鴨下 亜衣
辻 友美
- 出版者
- 新潟人間生活学会
- 雑誌
- 人間生活学研究 (ISSN:18848591)
- 巻号頁・発行日
- vol.6, pp.101-106, 2015-03
食品添加物の安全性についての評価は一般的に単独でおこなわれることが多いため、Lau らは複数の食品添加物の組み合わせによる神経芽細胞腫への効果について検討をおこない、神経突起の成長阻害が2 種類の品添加物( ブリリアントブルーFCF と L- グルタミン酸、キノリンイエローとアスパルテーム) の同時投与により相乗されることを示した。本研究では、Lauらがおこなっていない2 種類の組み合わせである、アスパルテームとブリリアントブルーFCFそれぞれの単独投与と共投与を初代培養神経細胞に対しておこない、神経細胞への生存作用について検討をおこなった。また、食品添加物と注意欠陥・多動性障害(ADHD)との関連性がこれまでに指摘されており、ADHD においてGABA 抑制伝達が減弱するとの報告もあることから、本研究では、GABA 抑制性神経細胞に対して免疫組織化学的手法を用いて検討をおこなった。ブリリアントブルーFCF を単独で10nM、72 時間添加したとき、大脳皮質初代培養神経細胞の細胞数は有意に減少していた。また、ブリリアントブルーFCF 10nM、アスパルテーム5μM の濃度で共投与した時にGABA 抑制神経細胞の割合が有意に減少していた。これらの結果は、高濃度のブリリアントブルーFCF が神経細胞に対して生育阻害に働き、また、高濃度のアスパルテームと組み合わせた時に、特にGABA 抑制細胞に対して阻害的に働くことを示唆する。