著者
倉本 宣 辻永 和容 斉藤 陽子
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.385-390, 2000-05-20
被引用文献数
3 2

多摩川河川敷においてカワラサイコの局所個体群が103箇所, ヒロハノカワラサイコの局所個体群が3箇所発見された。両種の分布は細粒堆積物が薄く, 群落高の低い立地に限られていた。芝の堤防法面においては, カワラサイコは生育していたが, ヒロハノカワラサイコは見られなかった。発芽実験の結果, カワラサイコはシャクチリソバの菜の庇蔭による発芽抑制効果および変温による発芽促進効果を持たないのに対し, ヒロハノカワラサイコは両効果を持っていた。カワラサイコは植被の下でも発芽するのに対し, ヒロハノカワラサイコは植被の下では発芽しないと推測される。この発芽特性の違いが, 芝の堤防法面における分布に影響を与えている可能性がある。