著者
近藤 幸雄 亀井 嘉文
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.331-334, 1972-07-01 (Released:2011-10-11)
参考文献数
12

妊娠10ヵ月初期の経産婦で, 陣痛が発来し, 破水して分娩陣痛がはなはだ強くなっても一向に先進部は下向せず, このとき漸く産婦はこの妊娠6ヵ月のときに, 子宮頚管無力症のためにShirodkar手術を受けたと言明. その縫合糸の切断. その後も陣痛は持続的過強であるので吸引分娩で2, 360gの男子を前方後頭位で娩出. 児は死亡していた. その後産褥期に内診すると外子宮口と思われる部の中に横走する中隔らしきものあり, 分娩後1ヵ月目に診察すると横走中隔と思われたものは子宮腟部であって, その上に本来の外子宮口あり, 中隔の下の外子宮口と思われた部が縫合痕の部に生じた裂口であることが判明した例である.