著者
五十嵐 広明 近藤 昭夫
出版者
Arachnological Society of Japan
雑誌
Acta Arachnologica (ISSN:00015202)
巻号頁・発行日
vol.27, no.Specialnumber, pp.157-166, 1977 (Released:2007-03-29)
参考文献数
20
被引用文献数
3 2

1. 低張液処理押しつぶし法を真正蜘蛛類の11科17属18種に試みた結果, ほとんどの種で鮮明な染色 体像を得ることが出来, この方法は特に精原細胞分裂中期および還元分裂のさまざまな時期の染色体像 にすぐれていた.2. 低張液処理押しつぶし法により, オオヒメグモ Theridion tepidariorum 雄の22本の染色体がす べて小さい腕をもった端部動原体染色体であることがわかり, 2本のX染色体の一方と考えられる短い染色休が確認出来た.3. IMAI and KUBOTA の方法および酢酸解離空気乾燥法を原法に改良を加えて使用し, そのうち特に酢酸解離空気乾燥法は精原細胞分裂中期の染色体像にすぐれていた.4. IMAI and KUBOTA の方法および酢酸解離空気乾燥法に改良を加えた方法によるスライドに, SUMNER の BSG 法を用いた結果, オオヒメグモ, ササグモ Oxyopes sertalus の染色体の動原体付近が濃染し, この部分に構成的異質染色質が存在することがわかった.5. ササグモでは鮮明なC-バンドが得られたが, 1本のX染色体を含む21本のすべての染色体の動原体付近のみが濃染し, この部分のみに構成的異質染色質が存在することが示唆された.6. C-バンド法により性染色体を識別しようとする試みは成功しなかったが, オオヒメグモの染色体の一部には, 動原体付近以外の染色体末端が濃染するものがあるようであり, C-バンド法は真正蜘蛛類の核型の進化を考える上で, ある程度有効な方法であることが示唆された.