著者
腰野 富久 近藤 邦明
出版者
医学書院
雑誌
総合リハビリテーション (ISSN:03869822)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.197-201, 1985-03-10

はじめに 膝内障の定義に関しては,さまざまな意見があるが,一般的な概念としては急激な疼痛,嵌頓症状および膝くずれなどを訴え,単純X線像に病的所見を認めないものをさしている.このように膝内障という呼称は判然としない面があるが,膝関節内の不定の障害に対する総称であり,診断をつけるには便利なものであるため,ごく最近まで広く用いられてきた. 一般的には半月板損傷,陳旧性十字靱帯損傷,膝蓋軟骨軟化症,棚障害,膝蓋下脂肪体障害(Hoffa's disease)などの膝障害をさすことが多い8). しかし最近では,各種診断技術の進歩に加えて,X線学的検査でも膝蓋骨軸射像,関節造影,関節鏡などが広く行われるようになり,これまで膝内障として一括して扱われていた疾患に対しても,病態が明確に把握され個個の疾患に即応した治療が行われるようになった.これら膝内障に属する個々の疾患に対して若干の解説を加えた.