著者
速水 香織
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.1-13, 2007-02-10 (Released:2017-08-01)

享保三年刊『武徳鎌倉旧記』が江戸の万屋との連名板として刊行された背景には、自笑と其碩との確執があった。更に八文字屋の競合店・菊屋七郎兵衛が三都板出版に乗り出したことも影響していると考えられる。また、これら上方浮世草子出版界の動向は、元禄末年頃から活発化していた江戸と上方との取引が、この頃既に本格化していたことを示すとともに、出版規制が厳格化していた当時の江戸出版界の状況を物語るものであると言える。