著者
遠山 大輔
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.8-11, 2017 (Released:2019-01-01)

本稿では京都府の「舞鶴高 1 女子殺害事件」における、防犯カメラ画像の鑑定の問題点について事 例報告を行なう。本件は N 氏が被害者をわいせつ目的で殴打して殺害したとされた事件であった ( 後に N 氏の無罪が確定した )。本件では、被害者と思われる人物と自転車を押す男性と思われる人 物が、遺体発見現場近くの防犯カメラに記録されていた。このカメラ画像の鑑定書が証拠のひとつ とされていた。鑑定書では、人物の服装や自転車、また耳たぶの酷似が根拠として挙げられ、N 氏 と防犯カメラに記録された人物が同一であると結論づけられていた。この鑑定書について、別の専 門家に意見を求めたところ、1 画素にどれだけ対象が記録されているかで画像の値打ちが決まり、 見えるか見えないかも決まるとのことであった。これにより、耳たぶの画像については 1 画素に 2.5 × 2.5 センチ程度しか記録されていないなど、提示された防犯カメラ画像では同一性について 論じることはできないという結論を得ることができた。鑑定は同一性判断の基準や表現について検 証可能な形で行われる必要があると感じている。
著者
遠山 大輔
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.8-11, 2017

本稿では京都府の「舞鶴高 1 女子殺害事件」における、防犯カメラ画像の鑑定の問題点について事 例報告を行なう。本件は N 氏が被害者をわいせつ目的で殴打して殺害したとされた事件であった ( 後に N 氏の無罪が確定した )。本件では、被害者と思われる人物と自転車を押す男性と思われる人 物が、遺体発見現場近くの防犯カメラに記録されていた。このカメラ画像の鑑定書が証拠のひとつ とされていた。鑑定書では、人物の服装や自転車、また耳たぶの酷似が根拠として挙げられ、N 氏 と防犯カメラに記録された人物が同一であると結論づけられていた。この鑑定書について、別の専 門家に意見を求めたところ、1 画素にどれだけ対象が記録されているかで画像の値打ちが決まり、 見えるか見えないかも決まるとのことであった。これにより、耳たぶの画像については 1 画素に 2.5 × 2.5 センチ程度しか記録されていないなど、提示された防犯カメラ画像では同一性について 論じることはできないという結論を得ることができた。鑑定は同一性判断の基準や表現について検 証可能な形で行われる必要があると感じている。