著者
小林 昭 遠矢 光孝 福西 亮 吉田 愛知
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.263-268, 1974-10-10 (Released:2010-03-26)
参考文献数
14
被引用文献数
2

ソテツ味噌を試醸し, ソテツの有毒成分であり発癌性の知られているcycasinと, アフラトキシン汚染の有無を検索した。また, 長期間動物に投与する試験を行なった。1) cycasinはソテツ種子自身のもつβ-グルコシダーゼで分解され, 通常の原料ソテツ粉末中には残存しなかった。cycasinが残存するようにして調製した原料では, 麹菌の成育が抑制され麹ができにくいが, cycasinは速やかに分解された。2) Sprague-Dawley系ラットに, ソテツ味噌を10~50%混入した飼料を62日間, または10%混入飼料を190日間給餌した。これらには1年間飼育ののち, いずれの臓器にも腫瘍の発生はまったくみられなかった。3) ここで用いたソテツ味噌の原料ならびに製品, 自家製ソテツ味噌3点にアフラトキシンは検出されなかった。