著者
遠藤 はる奈 中村 修
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.121, 2007

有機性廃棄物の循環的利用法として、堆肥化に加えて好気的発酵やメタン発酵による液肥化が普及し始めている。堆肥が緩効性であるのに対し、液肥は速効性かつ比較的高い肥効を示すため、実際の農業利用においては堆肥と液肥を組み合わせて利用することが有用と考えられる。本研究では、有機性廃棄物由来の堆肥が優先して用いられるシナリオをベースに、液肥を窒素肥料として施用することを想定し、長崎県における需給バランスを試算した。廃棄物を全量堆肥化あるいは液肥化した場合は、いずれも供給が需要を大きく上回る結果となるが、堆肥の基準施用量を満たし、かつ窒素肥料として液肥を散布する新シナリオにおいては、一部地域を除いては発生する廃棄物の全量を農地還元できる結果となった。このことから、有機性廃棄物の農地還元にあたっては、堆肥と液肥を組み合わせて用いることでその利用率を向上させることができることが示唆された。