著者
遠藤 晋作 堀田 法子
出版者
一般社団法人日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.18-25, 2015-07-20

学童期後半の先天性心疾患をもつ子どもに対する母親からの病気説明の実施状況と、その影響要因を母子双方の視点から明らかにすることを目的に、先天性心疾患をもつ10〜12歳の子どもとその母親に無記名自記式の質問紙調査を行い、92組(回収率82.5%、有効回答率92.9%)の回答を分析した。結果、病気説明に関する項目について、母親は全項目で希望より子どもへ話せておらず、子どもは今後の見通しや合併症の項目で、希望より母親から聞けていなかった。また多重ロジスティック回帰分析より、母親が子どもへ病気説明をしたと思うことに対する影響要因は、同疾患児の家族との交流、母親の病状に対する理解度、夫婦間不一致、子どもの運動制限が示され、子どもが母親から病気説明を聞いたと思うことに対する影響要因は、同疾患児の家族との交流、母親からの心理的侵入、被受容感、厳しいしつけが示された。母子の希望の確認や仲介、母親への情報提供、母子関係への配慮が、子どもへ適切な病気説明を行うための有効な支援となる。
著者
遠藤 晋作 上田 敏丈 堀田 法子
出版者
一般社団法人 日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.274-283, 2019 (Released:2019-11-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1

先天性心疾患をもつ学童期までの子どもに対して母親が行う病気説明プロセスを明らかにすることを目的とし、疾患をもつ10歳~12歳の子どもの母親4名に半構成的面接を行った。分析にはSCATの手法を用いた。母親は医師から病気説明を受け、 「自発的な情報収集」 を行うが 「断続・漸進的な理解向上」 しか望めず、子どもが学童期になっても 「理解追求が停滞する不全的な病気説明理解」 状態にあった。その背景には 「疾患衝撃による理解阻害」 「病気理解の追求困難」 「医師母親間の信頼関係形成困難」 があり、母親は幼児期までの子どもに対する 「日常生活に即した内容中心の病気説明」 を、学童期までに 「日常生活に即した内容と不十分な医学的知識が共存した病気説明」 に変容させていた。またその病気説明は 「成長に付帯する病気説明選択要因」 に影響されていた。母親が医学的知識を向上し、子どもへ希望に沿った説明を行えるよう支援することが求められる。