著者
古井 良彦 遠藤 桃子 副島 清美 片山 一朗 西岡 清
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.555-558, 1995-06-01 (Released:2011-07-20)
参考文献数
8

I. はじめに: われわれはlidocaineの経口アナログであるmexiletine hydrochlorideを, 帯状疱疹ならびに帯状疱疹後神経痛の疼痛を除去する目的で使用し, 有効であったので報告する。II. 対象ならびに方法: 対象は帯状疱疹患者97名と帯状疱疹後神経痛の患者8名で, 全例を無作為に次の3群に分けた。第1群: 基本処方+mexiletine(150mg/day), 第2群: 基本処方+vidarabine(300mg/day)+alprostadil(60μg/day), 第3群: 基本処方[naproxen(300mg/day)+mecobalamin(1500μg/day)]のみ。III. 結果: 帯状疱疹において, mexiletineを投与した第1群では内服開始の次の日には疼痛が約半分に, 4日目には約1/5に減少した。また全例が約9日で疼痛が消失し, 他群に比し除痛効果が優れており予後も良好であった。他群では疼痛消失までの期間がより長く, 疼痛が残った症例がみられた。帯状疱疹後神経痛についても同様の傾向がみられた。IV. かんがえ: mexiletineの経口投与はiontoforesisと同程度の有効率を示し, 帯状疱疹ならびに帯状疱疹後神経痛に伴う疼痛の治療に有効であると考えられる。