著者
平松 祐太 遠藤 雅也 林 豊彦 織田 孝 乾 浩明
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.195-204, 2016 (Released:2017-08-01)
参考文献数
17

筋委縮性側索硬化症や脳性まひをはじめとする重度肢体不自由者は, 個人に合った支援機器を利用すれば, 生活の質を著しく改善できる. その利用には操作スイッチが用いられているが, 現在の技術レベルでは, 身体の痙攣や振戦などの不随意運動がスイッチを入れてしまうと, 機器への誤入力が起こってしまう. そこでわれわれは, 不随意運動がある重度肢体不自者でも使用できるように, 3軸地磁気センサを用いた操作スイッチGSN/1を開発した. 不随意運動による誤入力を最小にするために, 統計的パターン認識法のひとつであるフィッシャーの線形判別法を応用した. さらに, 健常者を用いた2種類の不随意運動 (痙攣, 振戦) のモデルを開発し, 不随意運動も起きる条件下におけるGSN/1の操作性能の定量評価に用いた. 実験結果より, 正しい入力を許容レベルに維持するために必要とされる 「痙攣および振戦の条件」 について明らにした.