著者
那須 亮
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

卵巣明細胞癌は、抗癌剤耐性を示すため最も予後が悪い卵巣上皮癌である。本研究では明細胞癌幹細胞を標的とした新規治療法の開発を目指した。我々が樹立した明細胞癌幹細胞の遺伝子発現パターンを解析した結果、幹細胞マーカーLGR5の高発現を認めた。さらに、R-spondin-LGR5軸によるWntシグナル活性化の分子機構を解析した結果、R-spondin/Wnt刺激が、Axin1の新規リン酸化を促進することによりWntシグナルを活性化することを見出した。従って、LGR5の細胞外領域を標的とする抗体と、Axin1のリン酸化修飾を標的とする低分子化合物の両方が新規抗癌剤として期待される。