著者
郭 暁蘇 植田 憲
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.212, 2013 (Released:2013-06-20)

中国吉林省査干湖周辺地域では、長い歴史のなかで、当該地域特有の漁撈文化が構築されてきた。しかしながら、今日の高度経済成長とともに、自然の管理や漁撈道具の変化、人びとが創出・継承してきた伝統的文化が消失しつつある。  本研究は、中国吉林省西山外村における、最も重要な漁撈活動として冬に行われる「冬捕」を取り上げ、自然との共生に基づいて構築されてきた特質を把握するとともに、今後の当該地域の生活づくりのあり方を導出することを目的としたものである。  文献調査ならびに西山外村における高齢者を中心して、昔の「冬捕」を主として聞き取り調査を踏まえ、次の諸点を明らかにした。  1)身の回りの自然物を適度に採取し道具をつくり、周りの自然環境を理解して、自然の利活用の知恵を生み出した。  2)時に分業・協働をして、漁撈をして、人と人を繋がって、共同体的な行動規範が存立した  3)漁撈に関する習俗と信仰を継承して、精神構造を共有して、特有な生活文化の秩序を構築した。