著者
郷 秀人
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.84, no.9, pp.1675-1680, 1993-09-20
被引用文献数
12 11

1992年1月から11月にかけ,副腎腫瘍患者8例に対し,腹腔鏡下に副腎摘除術を施行した.右側2例,左側6例で,内分泌非活性腫瘍の1例を除き残り7例はいずれも原発性アルドステロン症であった.術前画像診断による腫瘍の大きさは,10〜20mmと比較的小さいものばかりであった.手術は,5ないし6本のトロッカーを刺入し行った.全例患側副腎を摘除することができた.手術時間は2時間45分から9時間32分(平均4時間53分)であった.術中重篤な合併症はなく,出血も平均207mlと少なく,輸血を必要とした症例はなかった.術後の回復は開放性手術に比べ,かなり早く,順調であれば,第1病日に経口摂取し,遅くとも第3病日までには歩行を開始した.ある程度腹腔鏡操作に慣れていれば,本術式は安全に行える手技であり,患者への侵襲も少なく,非常に有効な方法と思われた.