著者
都賀 美有紀
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第18回大会
巻号頁・発行日
pp.47, 2021-03-15 (Released:2021-03-15)

「しまった。うっかり薬を飲み忘れた」などと後になってふと自身のし忘れを正しく思い出すことがある。日常のし忘れを思い出すことは、本来は知っているが一時的に思い出せない記憶エラーと考えられる。本研究ではこれをうっかり忘れと呼ぶ。先行研究では、うっかり忘れは展望的記憶の問題(山中, 2006)あるいはワーキングメモリの処理資源の問題(苧阪, 2014)と説明される。しかしながら、分類や背景メカニズムについて体系的な記述はこれまで示されてはいない。そこで本研究では、178名の大学生を対象に自身のうっかり忘れの出来事の自由記述を求めた。2212件の事例(M = 12.43, SD = 5.73)を収集し、梅本・大山・岡本・高橋 (2014) の忘却についての5つの分類項目に分けた(評定者2名)。知識や意図の忘却等既存の項目には当てはまらない事例があったため、抑制の失敗や情報の更新等の新規項目を追加した。追加項目は主に実行機能など日常生活の遂行に関わる機能と考えられる。