著者
永井 聖剛 Carl Gaspar
出版者
日本認知心理学会
巻号頁・発行日
pp.24-24, 2009 (Released:2009-12-18)

自人種の顔と比較し,異なる人種の顔に対する弁別成績等が低下する(他人種効果).本効果は自人種顔への日常的な接触によって説明されるが,その生起因については不明な部分が多い.本研究では個々の顔特徴(左目,右目,左眉毛,右眉毛,左目+左眉毛,右目+右眉毛,鼻,口)で他人種効果が生じるかを調べ,この効果の生起に重要な役割を果たす顔特徴を同定した.日本人被験者18名が参加し,顔全体,あるいは個々の顔特徴のみが提示され,個人弁別課題(10AFC)を自人種顔/他人種顔セットに対して行った.実験の結果,顔全体を提示した場合に加えて,左目,右眉,鼻の3つの特徴を個別に提示した場合にも,他人種効果が生じることが示された.これまで他人種効果は布置的な(configural)処理が関していると示唆されていたが,局所的な特徴の貢献に関しては報告されたことが無く,本結果は他人種効果の生起メカニズムに理解に重要な知見を提供するものといえよう.
著者
杉島 一郎 松田 瀬菜
出版者
日本認知心理学会
巻号頁・発行日
2014 (Released:2014-10-05)

本研究は,左右の指示をされてもとっさに反応できなかったり,場所を左右で答えるのが困難であったりする左右識別困難について,その原因として認知スタイル(言語優位,視覚優位)が関係あるのではないかとして質問紙による調査を行ったものである。質問紙は谷岡・山下(2005)の左右識別困難質問紙と荒木・木村(2005)のVVQ日本語版,および八田・中塚(1975)の利き手検査を用い,加えて左右識別能力への自信を2件法で質問したものである。99名の大学生を対象に調査を行った結果,左右識別能力に関して性差と認知スタイルの影響がみられた。男性では言語が優位ではなく視覚優位のものほど左右識別が困難で,女性では言語が優位でない方が左右識別困難になりやすいということが示唆された。
著者
足立 邦子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.85-95, 2004-05-31 (Released:2010-10-28)
参考文献数
22
被引用文献数
1 or 1

なぜ人は錯誤を含む確率判断をする場合があるのだろうか.本研究では確率の概念モデル(Hawkins & Kapadia,1984)に対応するメンタルモデル(伊東,1995)を再検討し,確率判断における思考プロセスを探究する.そのため確率について専門的な知識をもたない学生や社会人を対象に,日常体験すると考えられる状況設定をした課題を提示し,生起確率とその判断理由を自由に記述してもらった.その結果,確率定義運用型・確率定義誤運用型・算術運用型・非算術運用型の4種類の判断タイプがあり,確率定義運用型以外のタイプの判断を行ったときに認知バイアスが生じることがわかった.人は確率判断におけるそれら4つの型の認知的枠組みをもつのではないかと考察された.それら判断型の使い分け方は,アロケーション・システム(allocation system)における機能のしかたと類似するものであることが考察された.
著者
水野 りか 松井 孝雄
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.59-70, 2014-02-28 (Released:2014-08-06)
参考文献数
26
被引用文献数
1 or 0

本研究では,日本語母語者の日本の漢字表記語のメモリスパンには形態情報の影響が大きく音韻情報の影響は少ないことを検証することを目的とした.実験1では,漢字表記語の形態的長さを統制し,音韻的長さの語長効果への影響を調べた.その結果,モーラ数とメモリスパンは直線的な比例関係にはなく,また,読みの速度の速い参加者ほどメモリスパンが大きいわけではないことが明らかとなった.実験2では,単語の音韻的長さを統制し,形態的長さの語長効果への影響を調べた.その結果,文字数とメモリスパンには明確な直線的な比例関係が認められた.実験3では,メモリスパンへの形態的隣接語数の影響を,標準読みと熟語訓の漢字表記語で比較した.その結果,形態的隣接語数の影響は2種の漢字表記語間で差がなかった.これらの結果は,日本語母語者の漢字表記語のメモリスパンには,音韻情報の影響が少なく,形態情報の影響が大きいことを示している.
著者
小森 政嗣 長岡 千賀
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.1-9, 2010-08-30 (Released:2010-12-08)
参考文献数
25
被引用文献数
3 or 0

本研究では,初回の心理臨床面接におけるクライエントとカウンセラーの対話の映像を解析し,2者の身体動作の関係を分析した.心理面接として高く評価された二つの事例(高評価群)と,高い評価が得られなかった二つの事例(低評価群)を含む,50分間のカウンセリング対話4事例の映像を分析した.加えて,高校教諭と高評価群のクライエントの間の,50分間の日常的な悩み相談2事例を分析した.すべての対話はロールプレイであった.各実験参加者の身体動作の大きさの時系列的変化を映像解析によって測定し,クライエントとカウンセラー/教諭の身体動作の時間的関係を移動相互相関分析により検討した.結果から,(1)カウンセラーの身体動作はクライエントの身体動作の約0.5秒後に起こる傾向があり,かつその傾向は50分間一貫していること,(2)この傾向は高評価群において特に顕著であること,(3)この傾向は悩み相談の2事例では確認されず,高校教師による悩み相談2事例の間で共通した傾向は認められないことが示された.
著者
井関 龍太 川崎 惠里子
出版者
日本認知心理学会
巻号頁・発行日
pp.105-105, 2009 (Released:2009-12-18)

過去の出来事を思い出すときには,自分自身がその場にいて実際に周囲の状況を見ているかのように思い出す場合と(一人称の視点),第三者の立場に立って外部から自分を見つめているかのように思い出す場合(三人称の視点)がある。このような想起の視点は,現在の自己との整合性が低い記憶を想起する場合には三人称になりやすいことが報告されている。このことから考えると,現在からより離れた時点の記憶を想起するときほど,三人称の視点で想起されやすいと思われる。そこで,本研究では,手がかり語のイメージ性を操作して自伝的記憶の想起を求めた。一般に,イメージ性の高い語は,より過去の出来事を想起させることが知られている。実験の結果,高イメージ語は,低イメージ語よりも,より過去の出来事を想起させた。しかし,想起の視点は,手がかり語の違いによって有意には異ならなかった。想起の鮮明性は,高イメージ語の場合に高い傾向が見られた。
著者
安藤 花恵 三浦 佳世
出版者
日本認知心理学会
巻号頁・発行日
pp.130-130, 2007 (Released:2007-10-01)

本研究では、質問紙調査により、演劇経験1年目、2年目、3・4年目、5年以上の俳優がどのような態度で演劇に取り組んでいるのかを検討した。目指す俳優像、脚本を読む際の態度、演技プランを立てる際の態度、演技中の態度について、それぞれ16~18の項目の評定をおこなった。その結果、経験1年目、2年目の俳優は、演技中になりきろうとしたり、役になりきることができる俳優を目指すなど、「なりきる」ということへの志向が強いことが明らかになった。経験2~4年目の俳優には、自分のセリフに線を引いたり、脚本を読む際にまず自分のセリフを探したり、自分の出るシーンを重点的に読むなど、自己中心的な傾向が見られた。経験が5年以上になると、そのようななりきることへの志向や自己中心的な傾向は消え、存在感のある俳優や華のある俳優を目指すなど、感性的に優れた俳優を目指すようになることが示された。
著者
楠見 孝 米田 英嗣
出版者
日本認知心理学会
巻号頁・発行日
2017 (Released:2017-10-16)

日本全国の18歳から79歳の800人に対象にweb調査で、作品舞台を旅する「聖地巡礼」行動における作品世界への没入感を検討した.質問項目としては、物語理解における没頭尺度,移入尺度を旅行行動に対応するように改良し、あわせて、懐かしさ傾向、旅行行動などを測定した.その結果、アニメの作品舞台の旅行者は、小説舞台の旅行者に比べて,場面既知感が高いこと,場面既知感と作品世界への没入は相関が高いことが明らかになった。
著者
岡村 靖人
出版者
日本認知心理学会
巻号頁・発行日
2016 (Released:2016-10-17)

これまで嗅覚や味覚への直接的な刺激によってもたらされた空腹感と利他的行動との間には負の相関関係があることが明らかにされている。本研究では、空腹感を喚起させるプライム刺激として食べ物の想起課題を課し、その後の利他的行動への影響について検討した。実験では、大学生63名を空腹感喚起の強弱により、強刺激としてラーメンを用いる群、弱刺激としてプリンを用いる群、空腹感を喚起させる想起課題を行わない統制群の3群に分け、各刺激の特徴を詳細に記述するという課題を課した。その後、参加者に無報酬の実験参加を依頼した。その実験に何分間協力してもよいかを8件法で尋ね、利他的行動の指標とした。その結果、プリン群(M=2.43)とラーメン群(M=1.48)、統制群(M=2.48)とラーメン群との間にそれぞれ有意な差が認められた。以上により、食べ物の想起をするだけでも直接的な刺激呈示の場合と同様に利他的行動を抑制する効果があることが示された。
著者
三浦 佳世 秋山 祐子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.147-147, 2007

笑顔時に隆起する頬の部分を明るくすると、笑顔の印象の高まる可能性が指摘されている。そこで、顔の形態特徴に基づくタイプ別(大人-子供、ソフト-シャープの2軸による4タイプ)の典型平均顔(真顔)およびそれらの平均顔に、両頬もしくは同面積の額と顎へハイライトを入れ、表情(笑顔、怒り、悲)がどのように変化して感じられるかを、7段階評定で検討した。その結果、頬にハイライトが加わると、笑顔の印象が高まり、怒りと悲しみの印象の弱まることが示された。ただし、元の真顔に笑顔や怒りの印象が感じられる場合には、ハイライトが笑顔の印象を強めたり、怒りを和らげる効果が減少し、顔の形態的特徴が度合いに影響することも示された。
著者
宮代 こずゑ
出版者
日本認知心理学会
巻号頁・発行日
pp.20-20, 2011 (Released:2011-10-02)

本研究は、単語の意味の印象と文字表記形態(タイポロジー)の印象一致度を操作し、潜在記憶に与える影響を調査することを目的としたものである。予備調査では、ひらがな及び漢字表記された154語と、行書体・ポップ体・古印体との印象一致度を調査した。その結果から、本実験にて使用する単語60語を選出した。次に行われた本実験_I_においては、単語の意味-文字表記形態の印象一致度が潜在記憶に与える影響を調査するため、単語完成課題が実施された。実験計画は項目(印象一致/印象不一致/新; 被験者内要因)×文字形態(ひらがな/漢字; 被験者間要因)の3×2要因であった。本実験_I_は学習課題、妨害課題、テスト課題の3段階から成っていた。結果、単語の意味-文字表記形態の印象一致度が潜在記憶に与える影響は見出すことが出来なかった。その次に実施された本実験_II_においては、顕在記憶に与える影響を調査するために再認課題が行われた。結果、本実験_II_においても単語の意味-文字表記形態の印象一致度が持つ明らかな影響は認めることが出来なかった。
著者
喜入 暁 越智 啓太
出版者
日本認知心理学会
巻号頁・発行日
2016 (Released:2016-10-17)

サイコパシーは,冷淡な感情や他者操作性などを主軸とする1次性サイコパシー(primary psychopathy: PP)と,衝動性や反社会性を主軸とする2次性サイコパシー(secondary psychopathy: SP)からなるパーソナリティ概念の1つである。特に,PPは反社会性パーソナリティ障害と決定的に異なる点であり,したがって,PPがサイコパシーを特徴づける側面であることが指摘されている。本研究では,サイコパシーが他者を道具的に捉え扱う傾向(PP)が,女性に対しての女性蔑視傾向として示されるかどうかを検討した。分析の結果,男性参加者において女性蔑視傾向とPPとの正の関連が示された(SPとは有意な関連は示されなかった)。一方で,女性参加者の場合にこの関連は示されなかった。まとめると,男性のサイコパシーは,女性は道具的に支配するものであるという信念を持つことが示唆された。
著者
戸田 正直
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.205-215, 2006-03-31 (Released:2010-10-13)
参考文献数
9
被引用文献数
2 or 0

筆者が開発してきたアージ理論を,感情システムの基本構造と,感情システムが働くのに不可欠な認知システムの活動様式に話を絞って概観を試みる.この二つのシステムは心というソフトウエアの重要なサブシステムであって,一応別システムであるが,ともに協調しながら,心が動物から人間へ野生の環境の中で生き延びソフトウエアとして進化してくる間,重要な役割を演じてきた.本稿ではまず感情システムの基本構造を論じたうえで,感情を論じるうえで必須な認知システムの働き,特に思考とか想像とかと呼ばれる働きを概説する.そういう議論の間に,「今ここ」効果とか,アテンショントラップとか,認知による感情の制御とか,考えるための道具としてのダイナミックスキーマとか,想像とか,言語とか,その他,人間,動物を含めて,心というソフトウエアの働きを理解すために不可欠な諸概念もともに論じる.
著者
山本 晃輔
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.65-73, 2008-08-31 (Released:2010-07-09)
参考文献数
28
被引用文献数
2 or 6

本研究では日誌法を用い,“プルースト現象”——におい手がかりによって自伝的記憶が無意図的に想起される現象——の調査を行った.30名の参加者は1カ月間,プルースト現象が生起したときに記憶の内容およびその想起状況について記録するように求められた.その結果,ほとんどの記憶が古く,快でかつ情動性が高く,特定的で追体験感覚を伴った出来事であることが示された.加えて,手がかりとなったにおいは快でかつ感情喚起度が高く,命名が容易であった.また,想起状況の分析から,想起時の活動が副次的な手がかりとして作用することはまれであった.さらに,感情一致効果が見られた.これらの結果はにおい手がかりによって喚起された感情がプルースト現象の生起に影響することを示唆している.
著者
中尾 啓太 小川 景子
出版者
日本認知心理学会
巻号頁・発行日
2016 (Released:2016-10-17)

それまで経験したことがないにも関わらず,以前どこかで経験したことがあると感じた際の,鮮明な感覚の体験をデジャヴ (deja vu) という(Brown, 2004)。デジャヴ発生には新規刺激の形態 (Brown & Marsh, 2010) や,情報量 (Cleary et al., 2012) が影響することが報告されている。これまで情報量の操作には静止画 (二次元と三次元) が用いられていることから,本研究では,研究1として動画を用いて情報量の操作を行い,さらに研究2として情報の質 (文脈) に着目してデジャヴの発生要因に関する検討を行った。 検討の結果,先行する記憶に情報量が少なく (研究1),先行記憶と目の前の刺激に共通する文脈情報がある (研究2) ことによりデジャヴ感覚の発生が促進されることが示された。
著者
布井 雅人 中嶋 智史 吉川 左紀子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.43-50, 2013-08-31 (Released:2014-07-19)
参考文献数
12

本研究では,「限定」することが,商品の魅力評価および商品選択に及ぼす影響について検討を行うことを目的とした.実験では,限定販売であることを示す限定ラベル刺激(期間限定・数量限定・地域限定)と限定無関連ラベル刺激を作成し,商品画像刺激とともに対呈示した.実験1では,商品の魅力度評定が行われ,実験2では,同時に呈示された二つの商品から買いたいほうを選択する強制二肢選択課題が行われた.その結果,すべての限定条件において,限定ラベル刺激によって商品魅力度が上昇した.さらに,期間限定条件では選択率の変化が見られ,数量限定・地域限定よりも限定の影響が大きいことが示された.
著者
正田 真利恵 黒田 直史 横澤 一彦
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.69-76, 2015-02-28 (Released:2015-04-16)
参考文献数
13

顔や視線は情報選択を司る顕在的注意,すなわち注視に影響する.本研究ではマジック動画観察時の眼球運動を計測することで,ヒトの顔や視線方向が,注視に強く影響することを検証した.動画開始時にはマジシャンの顔が注視されやすかった.またマジシャンが視線を向けた物体が,その後,持続的に注視されたことから,他者の視線方向が観察者の注視行動に影響した.さらに注視すべき対象を知っている2回目観察時においても,マジシャンが視線を向けた物体が長く注視された.そしてマジシャンの顔が遮蔽され,視線方向を視認できない場合にも本傾向は生じたことから,他者の視線は,観察者の注視行動に対して,頑健に影響したと考えられる.ただし他者の視線方向に対する注視の偏りは,動画の進展に伴い減衰した.以上より,他者の意図を正しく推測できて初めて内容が理解できるマジック動画を観察しているときには,事前観察に基づき注視行動を制御可能であっても,他者の存在から視線を逸らしにくいことが明らかになった.
著者
Steven HEINE
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.63-71, 2018-02-28 (Released:2018-04-17)
参考文献数
6

Psychology suffers from the problem of studying a narrow database: most research is conducted on samples that are from Western, Educated, Industrialized, Rich, and Democratic societies. The problem is both that many psychological phenomena appear differently across cultures, and that WEIRD samples are psychological outliers on many dimensions. I will review some evidence that reveals the extent of cultural diversity in various psychological processes, and will discuss some implications. In particular, the WEIRD people problem intersects with a recent concern of a replicability crisis in psychology because failed replications conducted in other cultures might indicate boundary conditions for an effect, rather than a problem with internal validity. Moreover, as one solution to the replicability crisis is to collect larger sample sizes this has the unwanted consequence of further incentivizing the reliance on cheap convenience samples, which would exacerbate the WEIRD people problem. Implications and recommendations will be discussed.
著者
柴崎 秀子 時本 真吾 小野 雄一 井上 次夫
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.101-120, 2015-02-28 (Released:2015-04-16)
参考文献数
56

本研究では日本人高校生用の日英両語のリーディングスパンテスト(RST)を開発し,集団による短時間での実施が可能であるかどうか試行した.その結果,本研究で開発したRSTの信頼性係数は日本語(α=.864),英語(α=.875)ともに高く,得点分布に正規性が示され,RSTを集団で行うことが可能であることが示された.このテストを用いて,高校2年生を対象に日英語RST得点の相関を分析したところ,英語習熟度の高い群の相関係数は.677,低い群は.531であった.英語専攻の大学生を対象にした先行研究では日英語RST得点の相関係数は.84と報告されている.これらの結果は,第二言語の習熟が進んだ学習者は未熟な学習者よりも日英語RSTの相関係数が高いことを示し,その理由として,第二言語に熟達した読み手は第二言語読解を母語読解に近い形で行うことができるからではないかと推測される.