著者
鄭 汀
出版者
神田外語大学
雑誌
Scientific approaches to language (ISSN:13473026)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.133-148, 2010-03
被引用文献数
1

本稿は中日両言語の存在表現における「着」構文と「てある」構文の対応について影山(1996,2001,2009)の動詞の意味構造に基づき分析比較したものである。「着」構文と「てある」構文の対応関係を明らかにするためにはその動詞の意味構造を考察することが必要である。動詞の意味の体系についてはさまざまな考え方があるが、本稿では、両言語の動詞の意味を影山の<行為>→<変化>→<状態>という行為連鎖の観点から考察する。なぜなら両言語の存在表現の対応関係を同じ概念構造において比較することがその違いや共通点より明確に現れるだけでなく、その枠組みの有用性と限界を明らかにすることも可能となるからである。