著者
酒井 徳昭 松村 雅史
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.377-381, 2015 (Released:2015-07-27)
参考文献数
2

今回,われわれは心室期外収縮(premature ventricular contraction:PVC)後の心房ペーシングが自己のR波と重なることで生じる,心室の機能的アンダーセンシングに伴うT波上の心室ペーシング(Spike on T)を経験した.心室イベント後心房不応期(post ventricular atrial refractory period:PVARP)の延長は,逆行性室房伝導によるペースメーカ介在頻拍を防止することができる反面,最大追跡レートを制限してしまう.このため,PVCセンシング後のPVARPを1回のみ延長させる機能がある.このPVC後のPVARP自動延長アルゴリズムは,各メーカーによる機能に大差はない.しかし,延長されたPVARP内でP波をセンシングした後のペースメーカの反応はメーカーによって大きく異なり,その違いが今回のわれわれの経験したSpike on Tの要因の一つであることがわかった.PVC後の心房ペーシングが自己のR波と重なることで生ずるSpike on Tを回避するには,使用するデバイスのPVC反応の違いについて十分理解した上で,プログラムを行う必要性があると考えられた.