著者
里永 雄一朗
出版者
麗澤大学大学院言語教育研究科
雑誌
言語と文明 = Language & Civilization (ISSN:21859752)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.113-136, 2013-03-30

仏教は一般に普遍的宗教あるいは世界宗教とみなされているが、それが発祥地のインドから世界各地に伝播し土着する過程において、その地域固有の特質をもつにいたったことは周知の事実である。それはそれぞれの地域で普及した仏教思想における自然観にも生きており、インドの「原始仏教」ならびに「如来蔵系経典」においては「ダルマ中心」的自然観、中国の「非情成仏論」においては「衆生中心」的自然観、そして日本の「草木成仏論」においては「自然中心」的自然観が見出せるのである。「自然」との一体性をもち、その心情を重視するような主観的感性を尊ぶ日本人の自然観は、宇宙の原理や法則などを追求しようとする「原始仏教」の「ダルマ中心」的発想をどのように変容させたのであろうか。仏教思想に見るインドと日本の自然観との比較文化的考察を中心とし、特に日本の「草木成仏論」の成立に至る思想的流れを中国の「非情成仏論」にも触れながら追ってみたい 。