著者
里見 聡
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.21-33, 2015

<p>本研究では,少年鑑別所におけるアセスメント面接のプロセスを間主観的に捉えることで,心理技官と非行少年との面接がいかに展開されるのかを明らかにすることを目的とした。質的研究法を用いた分析の結果,心理技官は少年との面接の中で様々な個人的体験が想起されたり,感情が喚起されたりしているが,そういった個人的な思い入れを自覚し,客観的にモニターしながら,アセスメントを実行していることが明らかになった。また,心理技官は少年を支援したいとの思いを持って面接に臨んでおり,少年は心理技官のそのような姿勢によって心理技官に対する肯定的な印象を持ち,面接の中で心情の安定を得ていることが明らかになった。少年鑑別所におけるアセスメントは,面接における心理技官と少年との間主観的相互作用が投影されており,心理技官と少年の双方の相互交流や,その結果生まれるプロセスの変化を考慮に入れずに,アセスメントは成立しえないと言える。</p>