著者
重久 加代子
出版者
国際医療福祉大学学会
雑誌
国際医療福祉大学学会誌 = Journal of the International University of Health and Welfare (ISSN:21863652)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.51-61, 2020-08-20

本研究の目的は,看護実践におけるケアリングの定義を明らかにすることである.Rodgers の概念分析法を用いて,47 の対象文献より,7 つの属性,5 つの先行要件,6 つの帰結を抽出した.これらより,看護実践におけるケアリングは,「傾聴と双方向のコミュニケーション」と「人間的な親しみを感じられるかかわり」を基盤に「対象者と看護師が一体化するような関係」を築きながら「対象者と家族が安心して療養できる環境の調整」,「対象者や家族の状態を予測した支援」,「主体的に療養するための情報の提供」とともに「対象者の人格を尊重したケアの実践」と定義された.これらは,看護チームによるケアリング実践のベースになるものであり,看護実践におけるケアリングの評価指標の作成に寄与することが示唆された.
著者
重久 加代子
出版者
国際医療福祉大学学会
雑誌
国際医療福祉大学学会誌 = Journal of the International University of Health and Welfare (ISSN:21863652)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.92-105, 2020-08-20

目的:がんサバイバーの闘病体験と必要なケアリングを明らかにすることである.方法:患者会で活動するがんサバイバー 5 名に闘病体験時の看護師の関わりについて半構造化面接を行い質的に分析した.結果:3 つの時期の 14 の状況より 71 の必要なケアリングと 14 の状況のケアリングが抽出された.〈がんの診断を受け入院するまでの時期〉では 2 の状況と【がんや検査に対する不安や苦痛を理解したケアリング】等である7 のケアリング,〈入院し治療を受ける時期〉では 7 の状況と【主体的な療養へのケアリング】,【全人的な理解と尊厳を守るケアリング】等である 36 のケアリング,〈外来での治療継続と経過観察の時期〉では 5 の状況と【在宅療養中の心身の苦痛とセルフケアへのケアリング】,【生き方や価値観を尊重したケアリング】等である 28のケアリングが抽出された.結論:これらは,本研究の定義である「対象者を大切な存在として認識し,その人の能力を最大限生かせるかかわり」を反映した,がん看護のケアリングになることが示された.