著者
森 康 重野 未来 西山 忠男
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本地質学会第118年学術大会・日本鉱物科学会2011年年会合同学術大会
巻号頁・発行日
pp.53, 2011 (Released:2012-03-28)

本研究は、西彼杵変成岩類の超塩基性メランジにおける流体–岩石間反応と変形の相互作用についてアイソコン法を用いて考察する。泥質片岩の構造岩塊の周縁部には厚さ数cmの曹長岩化帯が見られる。アイソコン解析の結果は、曹長岩化に伴うH2OとCの溶脱、LILEとHFSEおよびREEの分別、約20 vol.%の固相体積の減少を示した。この体積減少量は曹長岩化で生成される流体相(H2O、CH4)では補えず、間隙水圧力が減少して流体の移動や岩石の延性変形が促進された可能性がある。一方、ヒスイ輝石岩の構造岩塊も曹長岩の反応帯を伴う。アイソコン解析の結果は、反応帯形成に伴うK2O、H2O、Sr、Baなどの付加、SiO2、Na2O、Fe2O3などの溶脱、約10 vol.%の固相体積の増加を示した。反応帯は、透水率を低下させてヒスイ輝石岩の後退変成作用を抑制したかもしれない。