著者
福本 辰己 皆川 鉄雄 濱根 大輔
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2010年年会
巻号頁・発行日
pp.237, 2010 (Released:2011-04-06)

ブラウン鉱鉱床の脈石として、また、赤色石英片岩の主要構成鉱物として産する緑簾石族鉱物は紅簾石,紅簾石-Sr,マンガニ紅簾石-Sr,マンガニ紅簾石,緑簾石-Sr,緑簾石などを端成分とする複雑な固溶体を形成していると考えられる。本研究では四国三波川帯、秩父帯に分布するブラウン鉱鉱床、赤色石英片岩(いわゆる紅簾片岩)中に主要鉱物として産する緑簾石族鉱物の同定を目的に行った。
著者
田中 崇裕 長原 正人 高橋 春雄 橋本 成弘 山田 隆 宮脇 律郎 門馬 綱一 重岡 昌子 徳本 明子 松原 聰
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2015年年会
巻号頁・発行日
pp.40, 2015 (Released:2020-01-15)

鹿児島県薩摩川内市入来地区に露出するカオリンを主とする変質粘土帯に存在する熱水石英脈中に、我が国初産のスカンジウムリン酸塩鉱物であるコルベック石とプレツール石と考えられる鉱物が確認された。これらの鉱物について、化学組成、産状、成因などについて報告する。
著者
石橋 隆 宮脇 律郎 重岡 昌子 松原 聰 萩原 昭人
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本地質学会第118年学術大会・日本鉱物科学会2011年年会合同学術大会
巻号頁・発行日
pp.151, 2011 (Released:2012-03-28)

岐阜県中津川市下野に位置する福岡鉱山の,花崗岩質ペグマタイトに伴う石英脈中より,ユークレース石(Euclase)の産出を確認した.本邦からの産出報告は初である.福岡鉱山産の本鉱物は,脈状ペグマタイトまたはそれに伴う石英脈中の白色粘土に充填された5cm~10cm程度の晶洞より,ごく少量産した.晶洞内壁の石英の結晶面上に,0.3mm以下のa軸方向に伸長した微細な短柱状自形結晶が,多数晶出している.ガンドルフィーカメラを用いたX線粉末回折実験で得られた回折値から単斜晶系(空間群P21/c)の格子定数を求めると, a = 4.7758(15), b = 14.328(4), c = 4.6324(13) Å, β = 100.31(2)°, V = 311.87(16) Å3となる.主なX線粉末回折値[d in Å (I) hkl]は, 7.16(100)020, 3.85(45)021, 3.23(67)–121, 2.78(68)121, 2.55(48) –141, 2.45(52)150である.EPMAでSiとAlの定量分析を行い,BeはSiと化学当量に,Hは100wt%からの差分で算出し, Be1.00Al0.99(Si1.00O4)(OH)0.93の実験式が得られた.
著者
Tatsuki TSUJIMORI
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
Journal of Mineralogical and Petrological Sciences (ISSN:13456296)
巻号頁・発行日
pp.170406a, (Released:2017-09-30)
被引用文献数
14

Paleozoic jadeitite–bearing serpentinite–matrix mélange represents the oldest mantle wedge record of a Pacific–type subduction zone of proto–Japan. Most jadeitites are fluid precipitates (P–type), but some jadeitites are metasomatic replacement (R–type) which preserve relict minerals and protolith textures. The beauty and preciousness of some gem–quality, semi–translucent varieties of jadeitites in the Itoigawa–Omi area led to the designation of jadeitite as the national stone of Japan by the Japan Association of Mineralogical Sciences. Zircon geochronology indicates jadeitite formed prior to Late Paleozoic Renge metamorphism that formed blueschist and rare eclogite. For example, in the Itoigawa–Omi and Osayama localities, older jadeitites and younger high–pressure/ low–temperature metamorphic rocks in a single mélange complex imply different histories for the subduction channel and jadeite–bearing serpentinite–matrix mélange. This suggests that the jadeitite–hosted mélange (or serpentinized peridotite) can stay within the mantle wedge for a considerable time; thus recrystallization, resorption, and re–precipitation of jadeitite can continue in the mantle wedge environment. Therefore, studies of Paleozoic jadeitites in Japan have great potential to elucidate the earliest stages of orogenic growth (oceanward–accretion and landward–erosion) associated with the subduction of the paleo–Pacific oceanic plates, and to test geophysical observations of modern analogues from a mixture of fossilized mantle wedges and subduction channels.
著者
西久保 勝己 松原 聰 宮脇 律郎 横山 一己
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2007年度年会
巻号頁・発行日
pp.205, 2007 (Released:2008-09-02)

東京都奥多摩町の白丸鉱山より、新たにベニト石Benitoiteを見出した。ベニト石は、曹長石、マースチュー石、ガノフィル石-多摩石系鉱物、方解石などと密な集合をなす。紫外線短波で明るい青白色の蛍光を発する。
著者
Arashi KITAKAZE Hironori ITOH Ryuichi KOMATSU
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
Journal of Mineralogical and Petrological Sciences (ISSN:13456296)
巻号頁・発行日
vol.106, no.4, pp.204-210, 2011 (Released:2011-09-21)
参考文献数
8
被引用文献数
3 6

Horomanite and samaniite are found in the interstices among grains of silicate minerals in lherzolite from the Horoman peridotite massif, Samani-cho, Hokkaido, Japan. The mean analytical data for the horomanite, as determined by electron-probe micro-analysis (EPMA), are Cu: 0.43, Fe: 41.82, Ni: 23.76, Co: 0.52 and S: 33.29 for a total of 99.82 wt%. The empirical formula is (Fe5.77Ni3.12Co0.07Cu0.05)Σ9.01S8.00. Crystallographic data for the horomanite acquired by X-ray single-crystal (precession) and powder (Gandolfi) diffraction methods. They revealed a tetragonal symmetry, space group P4/mmm, a = 8.707 Å, c = 10.439 Å, V = 791.4 Å3, and Z = 4.The mean chemical composition of samaniite obtained by EPMA is Cu: 16.90, Fe: 34.60, Ni: 15.48, Co: 0.16, and S: 32.87 for a total of 100.01 wt%. The empirical formula is Cu2.08(Fe4.84Ni2.06Co0.02)Σ6.92S8.00. The crystallographic data for samaniite, which were obtained by X-ray single-crystal and powder-diffraction methods, are tetragonal symmetry, space group P42/mnm, a = 10.089, c = 10.402Å, V = 1058.9Å3, and Z = 4.
著者
浜根 大輔 齋藤 勝幸
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2017年年会
巻号頁・発行日
pp.60, 2017 (Released:2020-01-16)

日本各地の砂金・砂白金について記載鉱物学的な調査を進めている中で,北海道から複数の本邦初産および希産鉱物を見出したので,ここまでに得られた内容を報告する。特に,元江鉱(yuanjiangite),自然鉛(native lead),金-銀-錫鉱物,トロフカ鉱(tolovkite),ラウラ鉱(laurite),トラミーン鉱(tulameenite),イソフェロ白金鉱(isoferroplatinum)について報告する。
著者
白勢 洋平 上原 誠一郎
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2016年年会
巻号頁・発行日
pp.63, 2016 (Released:2020-01-15)

岩手県崎浜ペグマタイト産電気石中に,Liに富む電気石と組成ゾーニングをなして産するMnに富む電気石を見出した。本研究で分析を行った電気石はLi濃集部に向かって伸長しており,柱状結晶の先端部で,黒色から,濃緑色,淡緑色,無色,紅色,水色へと色が変化している。共生鉱物として,カリ長石,曹長石,リチア雲母,トパズ,ミラー石を伴う。柱状結晶内の濃緑色部はティレース電気石(Tsilaisite),淡緑色,無色,紅色部はフッ素リチア電気石,水色部はリチア電気石であった。端面には細粒の繊維状フォイト電気石が形成されていた。崎浜産ティレース電気石の化学分析値は(Na0.58□0.41Ca0.01)(Mn1.02Fe0.20Zn0.02Al1.19 Li0.57)Al6(Si5.80Al0.20)O18(BO3)3(OH)3(OH0.65 F0.35)である。Bosi et al. (2015)は結晶内で,フッ素ティレース電気石-ティレース電気石-フッ素リチア電気石へと移り変わる産状を示し,崎浜産も同様であるが,Feを少量含む特徴を持つ。
著者
小川 英晃 牧野 州明 石橋 隆 中野 聰志
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会2008年年会
巻号頁・発行日
pp.108, 2008 (Released:2009-04-07)

苗木花崗岩ペグマタイトに産出する玉滴石は紫外線照射下で緑色蛍光を発することがある.本研究ではこの蛍光原因・蛍光特性を明らかにするために,産地の異なる3種の玉滴石についてWDX,FT-IR,蛍光測定を行った.ひとつは苗木産の玉滴石,ひとつは滋賀産の玉滴石,最後のひとつは佐賀産の玉滴石である. 化学組成分析によると苗木産の玉滴石はUを含むのに対して,滋賀産及び佐賀産の玉滴石はUを含まず,蛍光も発しない.また,苗木産玉滴石の薄片試料における蛍光分布写真とU分布はよく一致している.そして蛍光強度とU含有量も整合性が認められる. 苗木産玉滴石の蛍光強度は400℃以上で加熱することにより小さくなる.そして,加熱温度が高くなるにつれて蛍光強度は小さくなる傾向が認められる.これは玉滴石中の水が蛍光に影響を及ぼしていることを意味する. 以上のことから苗木産玉滴石の蛍光にはU,H2OまたはOHの両者が原因だと推定できる.
著者
中村 友梨江 長瀬 敏郎 栗林 貴弘 今井 裕之
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2017年年会
巻号頁・発行日
pp.41, 2017 (Released:2020-01-16)

昨年の年会にて結晶構造を報告した奈良県天川村産のレインボーガーネットについて,詳細な内部組織の観察からラメラ組織の成因を議論することを目的とし,薄片及び研磨片を電解放出型走査電子顕微鏡で観察した.Fine lamellaeはほぼアンドラダイト端成分の層とAlに富む層からなり,先行研究と同様に各層の幅には周期的な変化がみられた.幅が変化する場所はwavy lamellaeに一致する.また,fine lamellaeは幅が変化するところでクランク状に折れ曲がっており,結晶表面に対する高さが1周期分だけ変化する.これらの観察結果からwavy lamellae はfine lamellaeの厚さの変化によるモアレであること,fine lamellaeは平坦ではなく結晶面に対して山なりで階段状の斜面になっていることが明らかになった.さらにfine lamellaeがセクター境界の両側で一対一に対応しており,境界を越えて連続していることからfine lamellaeは成長縞であり,その形状はガーネットが成長したある時点での結晶表面の形状を反映していると考えられる.
著者
高井 康宏 上原 誠一郎 宮原 正明
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2007年度年会
巻号頁・発行日
pp.215, 2007 (Released:2008-09-02)

1864年にニューカレドニアで発見された緑色の鉱物は発見者のGarnierにちなんでgarnierite(珪ニッケル鉱)と名づけられた。その後garnieriteは数種類の含ニッケル含水珪酸塩鉱物の混合物であることが分かり,現在では野外名として用いられている。現在,各地のgarnieriteについて再検討しており,今回は特に大分県豊後大野市若山鉱山(旧ニッケル鉱山跡)のものについて報告する。光学顕微鏡下で針状結晶と腎臓状組織が特徴的に見られ,それぞれをSEM-EDSで分析した。どちらの組織も非常に微細な組織を持っており,特に腎臓状組織部ではNiに富む部分とMgに富む部分が互層している複雑な組織などが見られた。化学組成はquartz (opal), Ni-serpentineとtalcの混合物的な組成を示した。TEM-EDSでした結果,Niに富む部分とMgに富む部分がnmオーダーで複雑な組織を形成していた。
著者
川崎 雅之 加藤 睦実 廣井 美邦 宮脇 律郎 横山 一己 重岡 昌子 鍵 裕之 砂川 一郎
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2012年年会
巻号頁・発行日
pp.61, 2012 (Released:2014-06-10)

奈良県天川村洞川(どろがわ)にある五代松(ごよまつ)鉱山(接触交代鉱床)から黄色に着色した水晶が産出し、レモン水晶と称されて標本市場に流通している。この水晶は高過飽和条件下での樹枝状成長とそれに続く低過飽和条件下での層成長という二つの過程を経ていること、樹枝状水晶が種子となり、多面体水晶の形成を規制していることから、トラピッチェ・クオーツと呼べるものである。
著者
濵田 麻希 瀧川 哲也 奥野 正幸
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2018年年会
巻号頁・発行日
pp.162, 2018 (Released:2020-01-16)

石川県羽咋郡志賀町の富来鉱山は能登半島のほぼ中央部にあり,鉱床タイプは金山に典型的な鉱脈鉱床である.しかし産出する金鉱物および銀鉱物に関する情報は極めて乏しく,金や銀を含む鉱物種とその産状は不明であるため,本鉱山で産出する金鉱物および銀鉱物の同定と産状の解明を目的とし研究を行った.富来鉱山東郷三番坑の坑道の母岩である輝石安山岩は熱水変質を受けており,斑晶の輝石および斜長石は緑泥石,雲母類,白チタン石に変質しているか,交代されている.母岩中全体に自形の黄鉄鉱,石英脈と母岩との境界に他形の黄銅鉱が産出している.これらの変質鉱物と硫化鉱物は鉱床形成に伴う熱水作用によって生じたと考えられる.金・銀鉱物を含む石英脈を伴う試料の主な鉱石鉱物は黄鉄鉱,黄銅鉱,ほぼ純粋なZnS組成の閃亜鉛鉱である.閃亜鉛鉱とともに産出が報告されることの多い方鉛鉱の産出は見られない.エレクトラムは赤褐色石英脈中の間隙中に他形鉱物として産し,およそ47 mol.%程度の銀を含む.アグイラ鉱,自然銀,未同定鉱物の集合体は石英脈間隙中のエレクトラム周辺に他形の鉱物として産する.
著者
Kenta YOSHIDA Naoki AOYAGI Ryoji KATO Takao HIRAJIMA
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
Journal of Mineralogical and Petrological Sciences (ISSN:13456296)
巻号頁・発行日
vol.111, no.6, pp.398-404, 2016 (Released:2017-01-12)
参考文献数
35
被引用文献数
1 5

Thermal structure of the Kebara Formation and its proximal areas in the western Kii Peninsula was examined by Raman spectra of carbonaceous material (RSCM) geothermometer for pelitic rocks. A mean temperature of 313 ± 5 °C is obtained for the Kebara Formation, which is comparable with that of the neighboring unit of the Mikabu belt (319 ± 5 °C). The Sanbagawa belt of the relevant area, within a few kilometers to the north of the Kebara Formation, shows a mean temperature of 285 ± 7 °C, which is slightly but evidently lower value than those of the above two units. Peak temperatures estimated from the Chichibu belt and Shimanto belt located to the south of the Kebara Formation are 289 ± 13 °C and 216 ± 24 °C, respectively. Published geochronological data of the Kebara Formation are slightly older than those of the Sanbagawa belt in the Kii Peninsula and are similar to those of the Mikabu belt in the relevant area. These two data sets (geothermometry and geochronology) suggest that the Kebara Formation is possibly correlated with the Mikabu belt, but is not coherent to the southern margin of the Sanbagawa belt in the western Kii Peninsula, in tectonic contact with each other.
著者
宮島 宏 松原 聰 宮脇 律郎
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2010年年会
巻号頁・発行日
pp.74, 2010 (Released:2011-04-06)

新潟県糸魚川産のヒスイ輝石岩の研究の過程で,上記とは異なる産状のストロンチアン石が発見されたので報告する. ストロチアン石を含む岩石は青海川で転石として発見された.肉眼的には白色緻密半透明で,当初は細粒のヒスイ輝石岩と思われたが,ほとんどソーダ珪灰石からなる岩石であった.偏光顕微鏡と走査型電子顕微鏡では,ストロチアン石は最大長0.5mmの半自形~自形の長柱状~針状結晶の集合体で,集合体の形は不規則であり,母岩中に偏在している.結晶の伸長方向も一定ではなく,母岩の塊状のソーダ珪灰石に見られる脈の方向とも一致しない.また, ストロンチアン石は晶洞中や脈として産することが多いが,糸魚川産ストロンチアン石はそのいずれでもない. 試料が微細であるためガンドルフィカメラを用いてX線粉末回折データを得たところ,ストロンチアン石によく一致した. EDSによる化学分析の結果を,カチオン数が1となるように計算して得られた実験式は(Sr86.3 Ca13.4 Ba0.3)CO3となり,皆川(1995)の報告したものに近い組成を持つ.なお,母岩の大半を構成するソーダ珪灰石からはストロンチウムは検出されなかった. 糸魚川地方では,ヒスイ輝石岩,曹長岩,ロディン岩,コランダム岩などから多種多様なストロンチウム鉱物が発見されているが,ストロンチアン石のように一般に低圧で生成すると考えられているストロンチウム鉱物が発見されたのは初めてである.
著者
土谷 成輝 平島 崇男
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2010年年会
巻号頁・発行日
pp.171, 2010 (Released:2011-04-06)

三波川帯徳島県高越地域の藍閃石エクロジャイト(KT23)から三種類の組成累帯構造を示すザクロ石を見出した.タイプ1は細粒(直径約100μm)自形結晶で,Mn成分は釣鐘型組成累帯構造を示す.中心部にチリ状の包有物を多く含む.タイプ2は比較的粗粒(直径約1,000μm)自形結晶で,Mn成分は釣鐘型組成累帯構造を示す.Mnに富む中心部の包有物は主として石英であり,外縁部にのみオンファス輝石包有物が見られる.タイプ3は比較的粗粒(直径約1,000μm)他形結晶で,組成累帯構造はほとんど示さない.その組成はタイプ1及び2の外縁部とほぼ一致し,結晶全体にオンファス輝石包有物を含む.タイプ1と2は粒径が異なるにも関わらず組成累帯構造が相似型を示す.母岩は赤褐色層と濃緑色層の互層からなり,タイプ1は赤褐色層に,タイプ2と3は濃緑色層に存在する.上記のことから,藍閃石エクロジャイト(KT23)が累進変成作用を受ける過程で,比較的低温の時にタイプ1と2のザクロ石のMnに富む中心部が核形成し,エクロジャイト相の最盛期まで結晶成長が続いたが,タイプ3のザクロ石はエクロジャイト相の最盛期に核形成と結晶成長が起こったと考えられる.
著者
Hiroaki OHFUJI Motosuke NAKAYA Alexander P. YELISSEYEV Valentin P. AFANASIEV Konstantin D. LITASOV
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
Journal of Mineralogical and Petrological Sciences (ISSN:13456296)
巻号頁・発行日
vol.112, no.1, pp.46-51, 2017 (Released:2017-03-18)
参考文献数
19
被引用文献数
6

This study revealed for the first time the microtexture and crystallographic features of natural polycrystalline diamond, yakutite found in placer deposits in the Siberian Platform, Russia. Yakutite consists of well–sintered nanocrystalline (5–50 nm) diamond and small amount of lonsdaleite showing distinct preferred orientations. Micro–focus X–ray and electron diffractions showed a coaxial relationship between lonsdaleite 100 and diamond 111, suggesting the martensitic formation of yakutite from crystalline graphite. These textural and crystallographic features are well comparable to those of the impact diamonds from the Popigai crater located in the central Siberia and strongly support the idea that yakutite is a product of long–distance outburst from the Popigai crater, which has been inferred merely from the geochemical signatures.
著者
冨田 宣光 皆川 鉄雄 大越 悠数 田中 崇裕
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2012年年会
巻号頁・発行日
pp.56, 2012 (Released:2014-06-10)

NordenskiöldineとはBrögger(1887)により報告されたCaとSn4+のBoratesである。三方晶系に属する。本邦では未報告であったが、Vonsenite, hulsiteなどのboratesの産出で知られる宮崎県千軒平スカルン鉱床から見出した。Nordenskiöldineは無色透明, 葉片状あるいは板状集合体を成している。得られた実験式は(Ca0.94Fe2+0.02)Sn1.02(BO3)2であり、ほぼ端成分組成である。
著者
土谷 信高 柴田 知之 芳川 雅子 足立 達朗 中野 伸彦 小山内 康人
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

オマーンオフィオライト中の珪長質岩類は,海嶺期のもの,後期火成岩類に伴われるもの(衝上開始期),オフィオライト層序の下部に貫入する花崗岩質小貫入岩類(大陸衝上期)の3種類に区分できる.本報告では,これらのうちワジ・フィズ上流ザイミ付近のマントルかんらん岩中に貫入するものと,南部のハイレイン・ブロックのワジ・ハイミリアのマントルかんらん岩に貫入する大陸衝上期の花崗岩質小貫入岩体について,年代と岩石化学的特徴を述べる.これらの珪長質岩類の年代は,これまでに得られていた海嶺期および衝上開始期のものとほぼ同じかやや若い.また全岩化学組成は,海嶺期および衝上開始期のものと著しく異なることから,これらとは全く起源物質が異なることが分かる.詳細な検討から,ザイミのものは基底部変成岩類の白雲母を含むものの脱水分解溶融で,またワジ・ハイミリヤのホルンブレンドを含む岩石は角閃岩の部分溶融で説明可能である.
著者
古本 里菜 福本 辰巳 皆川 鉄雄 浜根 大輔
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2012年年会
巻号頁・発行日
pp.59, 2012 (Released:2014-06-10)

愛媛県岩城島のエジリン閃長岩中に,新鉱物であるsugilite [KNa2(Fe,Mn,Al)2Li3Si12O30]、kataya-malite[KCa7(Ti,Zr)2Li3Ca7Si12O36(OH,F)2] 等が(Murakami et al., 1976 ; Murakami et al., 1983)nにより発見されている.今回、本邦初産であるekanite(K0.27Na0.08Ca0.17)∑0.52(Ca1.94Ce0.06)∑ 2.00(Th0.99 U0.04)∑1.03(Si8 Al0.04) ∑ 8.04O20 ,Sogdianite  K1.03(Na0.57□0.43) ∑2.00 (Zr1.47Fe3+0.49Al0.14Th 0.01)∑2.01 Li3(Si12O30 )が発見されている.Ekaniteは, aegirine中に観察される. Sogdianiteはzirconと密接に共生している.Pectoliteの格子定数a = 7.74(3), b = 6.89(4), c = 7.07(5), α = 83.8°(7), β= 96.2°(4), γ = 101.0°(6)に基づくとNa が Liに置換されたと考えられる.