著者
野仲 松男
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.459-464, 2019-10-01 (Released:2019-10-01)

本稿では,世界の特許制度の動きについて概観したのち,主要特許庁の出願動向や国際協力について解説し,実用新案制度についても簡単に触れる。各国・各地域の特許制度は独立であるが,制度調和の取組が続けられており,特許制度の基本的枠組みは共通化されている。特許協力条約(PCT: Patent Cooperation Treaty)に基づく国際出願の利用は年々伸びており,欧州では,Brexitによる先行きの不透明さはあるものの,統一特許制度の実現が目前に迫っている。特許出願動向では中国の台頭が著しく,国際協力の中心は日米欧の三極特許庁から日米欧中韓の五大特許庁に移り,様々な協力プロジェクトが積極的に推進されている。