著者
野原 俊一
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Journal of Antibiotics, Series B (ISSN:04478991)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.163-173, 1966-06-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
30

今日, 腟トリコモーナス症に対しては, 局所療法のみでは不十分で, 経口投与による全身療法が必要であることは文献に明らかなところである。一方, 腟トリコモーナス患者のうち, 妊娠中の患者は12~30%といわれており1, 2), 著者の調査では, 27.5%に及んでいるが, この事実は, 腟トリコーモナス症の治療に当つては, 妊婦に抗トリコモーナス薬剤を投与する機会が多いことを物語つている。 ところで, 妊娠中に薬剤を投与するばあい, その薬剤が, 妊婦, 胎児に対し, 安全でなければならないが, 現今, 使用されている経口抗トリコモーナス薬剤については, まだこの問題が解決されていない。私は, 本問題について1つの解答を見出すため, 現在, 使用されている経口抗トリコモーナス薬剤, Azalomycin F monoacetate, Piperanitrozole, Metronidazoleの妊娠マウス胎仔に及ぼす影響について実験的検索をおこない, 以下に報告する結果を得た。