著者
野口 俊郎
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, 1981-12-15

利根川上流部に位置し, 群馬県沼田市と水上町にまたがる最大出力120万kWの純揚水式水力発電所建設(昭和52年着工, 昭和57,58年一, 二期運転開始)の工事概要を報告している。まず, 発電計画の概要を述べ, 次いで建設計画を全般にわたり説明している。発電時の有効落差518m, 揚水時の全揚程559mは, 規模として最大級といえる。玉原調整池ダムは, 中央土質しゃ水型フィルダム型式で, 高さ116m, 堤頂の長さ600m, 堤頂幅12m, 堤体積520万m^3である。ダム基礎は, 後閑層の緑色凝灰角礫岩, 角礫質礫岩, 輝石安山岩から構成され, 一部に断層, シームと節理面に沿った風化変質が認められ対応策がとられている。また, コアゾーン, フィルターゾーン, インナ・アウタゾーンの築堤材料としての各土質性状ならびに施工条件を述べている。地下発電所の地盤は礫岩, 流紋岩質凝灰角礫岩で比較的ち密堅硬で, 概して良好な基礎条件となっている。更に, 環境保全に対する諸施策, 発電所の諸施設の建設工事が概述されている。