著者
野口 敬康 高橋 良樹 下山 克 奥田 真珠美 福田 能啓
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.1193-1199, 2014 (Released:2014-10-20)
参考文献数
26

【目的】炎症性腸疾患に対するアスペルギルス・オリゼーNK菌発酵穀物胚芽(A. oryzae NK菌麹)の防御効果を評価するため、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)惹起大腸炎の病状と大腸粘膜サイトカインに及ぼす影響を検討した。【方法】雌性 Balb/cマウスを4群(各群 n = 6)に分け、精製飼料、2%又は5% A. oryzae NK菌麹含有精製飼料を与えた。14日後、正常群を除く3群には3%(w/v)DSS飲料水を与え大腸炎を惹起し、6日後に大腸組織の病理学的所見と大腸粘膜サイトカイン濃度を調べた。【成績】A. oryzae NK菌麹の前投与は、DSS大腸炎マウスの体重減少、肛門出血、大腸長の短縮、大腸障害などを抑制した。大腸粘膜の IL-6、TNF-α、IL-1βの過剰産生を有意に抑制し、IFN-γ/IL-10比の低下を正常マウスのそれに近づけた。【結論】マウスの DSS惹起大腸炎に対してA. oryzae NK菌麹は有益な防御効果を示した。
著者
高橋 良樹 福田 能啓 野口 敬康 三野 幸治 奥田 真珠美
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.741-747, 2014 (Released:2014-05-15)
参考文献数
12

【目的】麹菌醗酵産物が TNBS誘発大腸炎ラットの腸管病変に及ぼす効果を検討した。【方法】麹菌醗酵産物(プロバイオティクス麹)として強力わかもと®、その組成分アスペルギルス・オリゼー NK菌培養末を用いた。ラットに5%プロバイオティクス麹を4週間混餌投与し、TNBS/50% Ethanol注腸で大腸炎を誘発した。対照群は精製飼料を同様に投与し、大腸炎を誘発した。TNBS注腸7日後に、大腸病変、大腸のsuperoxidedismutase(SOD)、myeloperoxidase活性と血清 Zn濃度、大腸のサイトカイン mRNA量、糞便Lactobacillus属の変化、下痢固体数などを評価した。【成績】5%プロバイオティクス麹投与群では、対照群に比して体重減少、下痢が抑制され、大腸重量と傷害スコアの上昇が有意に抑えられ、SOD活性、Lactobacillus属と Zn濃度の低下も有意に改善又は改善傾向を認めた。著しく上昇した TNF-α、Cytokine induced neutrophil chemoattractant-1は、プロバイオティクス麹により有意に抑制された(p<0.01)。【結論】プロバイオティクス麹は、TNBS誘発大腸炎の大腸病変の悪化を防止し、腸管環境を改善した。