著者
野口 渉 飯塚 博幸 山本 雅人
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.2D2OS21a03, 2018 (Released:2018-07-30)

生物は高次元で複雑な生のデータを認識する.近年発展した深層学習はそのような複雑なデータの認識を可能とする.本論文では,深層学習を用いて,従来のミニマルモデルでは扱われ難かった高次元のデータの認識が生み出す生命性を考える.我々は視覚と運動の統合学習を通して空間認識能力を発達する階層型リカレントニューラルネットワーク(階層型RNN)モデルについて研究を行ってきた.階層型RNNはシミュレーション実験において,視覚と運動の主観的な経験のみから空間の客観的な地図である認知地図とみなせる内部モデルを獲得した.さらに,現実のヒトによって取得する視覚と運動の系列を用いた場合にも空間認識能力を獲得することが示された.これらの結果は,深層学習モデルを用いて現実の生命における認識を理解できる可能性を示唆している.