著者
飯塚 博幸
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

自己と他者の違いについて運動主体間を用いることで焦点を当てる.動作を行っている主体が自分であるという運動主体感が視覚と触覚と運動の感覚の統合においてどのように形成されているのかを明らかにすることを目的とし,他者にくすぐられるとくすぐったいが,自分で自分をくすぐることはできないことを利用する.結果として視覚刺激を操作することで自分でくすぐっているにも関わらず,くすぐったくなることを示し,運動主体感の生起について明らかにした.
著者
加藤 修 飯塚 博幸 山本 雅人
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.2354-2364, 2016-11-15

二人零和有限確定完全情報ゲームにおいてすでにAIは人間に匹敵する強さとなっており,最近では麻雀や人狼など,多人数ゲーム,不完全情報ゲーム,不確定ゲームが新たな研究対象として注目を集めている.そのような中で不確定ゲームとしてデジタルカーリングがある.デジタルカーリングはカーリングの二人用コンピュータゲームであり,AIどうしを競わせカーリングの戦略を解析することを目的とした不確定ゲームのテストベッドとして開発された.本研究ではデジタルカーリングにボードゲームの探索手法を適用し,投球目標座標と回転方向を候補手,盤面状態を局面としてデジタルカーリングにExpectimaxによるゲーム木探索を適用する手法を提案する.Expectimaxではゲーム木内で確率的に推移するノードを用いており,ゲームの不確定性を考慮した探索が可能となっている.提案手法の有効性を検証するため,不確定性を考慮する場合としない場合それぞれにおいて探索の深さを変化させ既存AIとの対戦実験を行った.その結果,提案手法による不確定性の考慮を行った場合に勝率が上昇し,また不確定性を考慮した場合のみ探索の深さを増やすことで勝率が上昇したことから,デジタルカーリングにおける提案手法による不確定性を考慮した先読みの有効性が明らかとなった.
著者
池田 宥一郎 飯塚 博幸 山本 雅人
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

近年の情報科学の発展は,動物行動学の研究に大きく寄与している.我々は札幌市円山動物園において人工知能により動物を管理する負担の軽減を試みを行っている.我々の目標の1つは,健康管理と飼育環境の整備のためにチンパンジーのエソグラムを自動的に作成することである.エソグラムとはある特定の個体や種の全行動パターンの目録であり,動物の行動を研究するうえでもっとも基本的な記録である. エソグラムの作成には個体識別が必要があるため,本研究では画像認識分野で高い精度を出している畳み込みニューラルネットワークを用いて個々のチンパンジーを認識できるか検証した。 実験の結果,我々のシステムはチンパンジーの個体識別が可能であることを示した。
著者
加藤 修 飯塚 博幸 山本 雅人
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 知識ベースシステム研究会 104回 (2015/3) (ISSN:24364592)
巻号頁・発行日
pp.02, 2015-02-26 (Released:2021-07-14)

Curling is a sport in which players slide stones on a sheet of ice towards a target area which is segmented into four concentric circles. Digital Curling can simulate the trajectory of the stones and calculate the resultant states after the delivery, so it can be used for supporting the tactics of curling. Different from the conventional testbed for artificial intelligence (AI), the game of Digital Curling require the software to consider the stochastic consequences. In this paper we propose the method to provide better tness estimation with less number of internal physical simulations for a player. The proposed estimation method to find the next move, is embedded to the AI program. By using the several simulation results, the effectiveness of the proposed method is discussed.
著者
本庄 将也 飯塚 博幸 山本 雅人 古川 正志
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.744-755, 2016-08-15 (Released:2016-09-28)
参考文献数
18
被引用文献数
2

近年注目されている実数値最適化手法の一つに粒子群最適化(Particle Swarm Optimization, PSO)がある.PSOは群知能の一種であり,複数の探索単位(粒子)が互いに情報共有を行いながら解の探索を行う.多点探索を行うメタヒューリスティクスとしては遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm, GA)が有名であるが,多くの実数値最適化問題においてPSOのほうがGAに比べて高速に良い解を発見できることが知られている.本研究では,組合せ最適化問題の一種である巡回セールスマン問題(Traveling Salesman Problem, TSP)に対して短時間で良い解を得ることを目的として,PSOを基にしたアルゴリズムである挿入操作PSO戦略を提案する.提案手法では,粒子の解候補は実数値ベクトルではなく巡回路として表現され,粒子間の相互作用は部分経路挿入によって行われる.本論文では,挿入操作PSO戦略について説明し,数値計算実験からパラメータと得られる解の良さと必要な時間の関係について調査し,パラメータ調整の指針を示す.また,各ベンチマーク問題に対して提案手法とGAなどの代表的なメタヒューリスティクスを適用し,提案手法がこれらの手法より短時間で良い解を求められることを示す.
著者
丹羽 真隆 飯塚 博幸 安藤 英由樹 前田 太郎
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.3-10, 2012
参考文献数
12
被引用文献数
1

We propose novel architecture to realize a low-degree of freedom (DOF) Tsumori controller to manipulate a high-DOF robot. We believe that humans can immerse themselves to manipulate a robot if the robot reflects user intention. In our Tsumori controller, the user intuitively operates a joystick, and the robot moves semi -autonomously and reflects the user's intention that is extracted from intuitive input sequences. In this paper, we explain how to extract Tsumori, which is an archetype of human behavioral intention, and how to realize a Tsumori controller.
著者
三橋 允 飯塚 博幸 山本 雅人
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2015年度精密工学会秋季大会
巻号頁・発行日
pp.755-756, 2015-08-20 (Released:2016-02-20)

ゲーム木探索の中でもランダムなシミュレーションを繰り返すことで近似的な評価値を得るモンテカルロ木探索法と呼ばれる手法が存在する。しかしランダム性故に現実にはまず起こり得ないシミュレーション結果も評価に含まれてしまうことがあるため、数手に渡り正確な読みが必要となる局面は苦手とされている。そこでシミュレーション結果(報酬)をミニマックス的に伝搬することで、末端の情報を活用し評価精度の向上を目指す。
著者
山下 晃弘 川村 秀憲 飯塚 博幸 大内 東
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.47-57, 2009-03-27
被引用文献数
1

Web 上の情報量拡大にともなって,オンラインストアなどでは推薦システムを導入する事例が増加している.同時に,これまで様々な推薦アルゴリズムが提案,分析,評価されてきた.システムによる推薦結果は,次にユーザが閲覧するアイテムとなり,結果としてどのアイテムが次に評価されるかに影響を及ぼす.したがって,推薦システムとユーザは相互作用を及ぼしあう関係にあるといえる.しかし,先行研究による推薦アルゴリズムの評価・分析では,一時的な推薦精度のみに着目し,このような相互作用は考慮されてこなかった.そこで本研究では,ユーザをエージェントとしてモデル化することで,推薦システムとユーザの相互作用を考慮した,新たな評価・分析モデルを提案する.さらに,本論文では,基本的な推薦アルゴリズムである 「ユーザ間協調フィルタリング」 と,実システムとしてすでに実用化されている 「アイテム間協調フィルタリング」 を例として取り上げ,その特性について提案モデルを用いて分析した.その結果,既存の評価・分析モデルの枠を超え,より有効な推薦への指針を検証可能であることが示された.The problem of information overload spreading across the Internet has been causing serious inefficiency in browsing and searching for information. As a way to overcome the problem, the recommender systems are recently used in many E-commerce sites. Many algorithms have been proposed to improve the accuracy of recommendation based on user ratings. The relation between recommender systems and users is rather interactive in the sense that recommendations decides which items are recommended to users and the results of ratings by users will affect the next recommendations. However, conventional studies have not considered the interactive aspects so much. Therefore, our aim of this paper is to propose a new evaluation model using multiagent modeling where the recommender system and agents (as users) interacts with each other. The properties of typical recommendation algorithms such as user-based and itembased collaborative filtering will be analyzed with our proposed model. Our results also suggest the possibilities to propose a novel and effective recommendation algorithm.
著者
野口 渉 飯塚 博幸 山本 雅人
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.2D2OS21a03, 2018 (Released:2018-07-30)

生物は高次元で複雑な生のデータを認識する.近年発展した深層学習はそのような複雑なデータの認識を可能とする.本論文では,深層学習を用いて,従来のミニマルモデルでは扱われ難かった高次元のデータの認識が生み出す生命性を考える.我々は視覚と運動の統合学習を通して空間認識能力を発達する階層型リカレントニューラルネットワーク(階層型RNN)モデルについて研究を行ってきた.階層型RNNはシミュレーション実験において,視覚と運動の主観的な経験のみから空間の客観的な地図である認知地図とみなせる内部モデルを獲得した.さらに,現実のヒトによって取得する視覚と運動の系列を用いた場合にも空間認識能力を獲得することが示された.これらの結果は,深層学習モデルを用いて現実の生命における認識を理解できる可能性を示唆している.
著者
丹羽 真隆 飯塚 博幸 安藤 英由樹 前田 太郎
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.3-10, 2012-03-31 (Released:2017-02-01)
参考文献数
12
被引用文献数
2

We propose novel architecture to realize a low-degree of freedom (DOF) Tsumori controller to manipulate a high-DOF robot. We believe that humans can immerse themselves to manipulate a robot if the robot reflects user intention. In our Tsumori controller, the user intuitively operates a joystick, and the robot moves semi -autonomously and reflects the user's intention that is extracted from intuitive input sequences. In this paper, we explain how to extract Tsumori, which is an archetype of human behavioral intention, and how to realize a Tsumori controller.
著者
池田 宥一郎 飯塚 博幸 山本 雅人
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.1B1OS11a05, 2018 (Released:2018-07-30)

近年の情報科学の発展は,動物行動学の研究に大きく寄与している.我々は札幌市円山動物園において人工知能により動物を管理する負担の軽減を試みを行っている.我々の目標の1つは,健康管理と飼育環境の整備のためにチンパンジーのエソグラムを自動的に作成することである.エソグラムとはある特定の個体や種の全行動パターンの目録であり,動物の行動を研究するうえでもっとも基本的な記録である. エソグラムの作成には個体識別が必要があるため,本研究では画像認識分野で高い精度を出している畳み込みニューラルネットワークを用いて個々のチンパンジーを認識できるか検証した。 実験の結果,我々のシステムはチンパンジーの個体識別が可能であることを示した。
著者
加藤 修 飯塚 博幸 山本 雅人
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.2354-2364, 2016-11-15

二人零和有限確定完全情報ゲームにおいてすでにAIは人間に匹敵する強さとなっており,最近では麻雀や人狼など,多人数ゲーム,不完全情報ゲーム,不確定ゲームが新たな研究対象として注目を集めている.そのような中で不確定ゲームとしてデジタルカーリングがある.デジタルカーリングはカーリングの二人用コンピュータゲームであり,AIどうしを競わせカーリングの戦略を解析することを目的とした不確定ゲームのテストベッドとして開発された.本研究ではデジタルカーリングにボードゲームの探索手法を適用し,投球目標座標と回転方向を候補手,盤面状態を局面としてデジタルカーリングにExpectimaxによるゲーム木探索を適用する手法を提案する.Expectimaxではゲーム木内で確率的に推移するノードを用いており,ゲームの不確定性を考慮した探索が可能となっている.提案手法の有効性を検証するため,不確定性を考慮する場合としない場合それぞれにおいて探索の深さを変化させ既存AIとの対戦実験を行った.その結果,提案手法による不確定性の考慮を行った場合に勝率が上昇し,また不確定性を考慮した場合のみ探索の深さを増やすことで勝率が上昇したことから,デジタルカーリングにおける提案手法による不確定性を考慮した先読みの有効性が明らかとなった.
著者
飯塚 博幸 安藤 英由樹 前田 太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.432, pp.15-18, 2012-02-02

本稿では自己と他者の違いに焦点を当てる.動作を行っている主体が自分であるという感覚を運動主体感と呼ぶが,この運動主体感が視覚と触覚と運動の感覚の統合においてどのように形成されているのかを明らかにすることを目的としている.この問題を扱うに当たり,他者にくすぐられるとくすぐったいが,自分で自分をくすぐることはできないことを利用する.実験では,視覚刺激を操作することで自分でくすぐっているにも関わらず,くすぐったくなることを示し,運動主体感について議論する.
著者
青山 一真 安藤 英由樹 飯塚 博幸 前田 太郎
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.315-318, 2014

In this work, we researched the human perceptual attribution for acceleration sensation evoked by Galvanic Vestibular Stimulation (GVS) and validated the enhancement effect of countercurrent using the dead current strength. In the results of experiments, we searched that the current threshold is 0.3 - 0.4mA by measuring the rate of correct directional perception. To validate the enhancement effect of countercurrent, we compared the rate of correct perception in long and short countercurrent and constant current. In the result, the rate of correct directional perception in long countercurrent is significantly higher than that of constant current in the dead current value.
著者
飯塚 博幸
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2001

協調的でもあり競争的でもある交渉という環境において、そのお互いの目的が協調的でかつ競争的であるシミュレーション環境のモデル化を行い、そのような環境における各エージェントの学習機構の開発とそのエージェントが学習によって獲得した内部構造の解析を行った。さらに、2エージェント間の合意形成の1つとして、ここでは、turn-takeの構造に着目した。Turn-takeの振る舞いは自分の目的を達成しながらも、相手の要求に応えて自分の目的を変化させるという交捗過程には必要な構造を含んでいる。通常、一人の特定の相手に対する適応的な戦略構造等に主眼がおかれるが、ここでは、未知の相手との協調行動の創発、適応可能性について注目した。シミュレーションの結果、幾何学的な軌跡を描くgeometric turn-taking、軌跡やターンの切り替えが規則的に生じないchaotic turn-taking、ノイズの不安定性を利用するnoise-driven turn-takingの3つのカテゴリーに分けられる協調行動としての運動が得られた。これらの進化して得られたエージェントを、世代を変えて相互作用をさせ、得られている振る舞いの複雑さと2者の協調での運動の関係について調べた。geometric turn-takingを行うエージェントは限定された相手とturn-takingを構築することができる。一方、chaotic turn-takingを行うエージェントは比較するとgeometricなものより多くのものとturn-takingを行うことが可能であることがわかった。つまり、協調行動に対して、振る舞いの多様性が、従来の特定の相手に対する適応行動だけでなく、未知の相手に対する潜在的な適応行動を保持しうることをシミュレーションによって示した。こうしたadaptabilityのシミュレーションの結果は本研究が初めてである。
著者
安藤 英由樹 飯塚 博幸 米村 朋子 前田 太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.34, pp.137-142, 2010-05-06

本稿では,パラサイト・ヒューマン・ネットワークを用いた五感情報通信によって安全安心応用を実現するために,光学共役な視覚共有システムを実現し,このシステムによって実時間支援,追体験学習の実現可能性を示す実験とその結果からパラメータの設計指針について報告する.