著者
野口 英行
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.9, pp.939-944, 1990-09-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
30
被引用文献数
3

カリウム-18-クラウン-6錯体によるピクリン酸イオンの25.0℃ での抽出平衡定数(Kex)を9種の抽出溶媒について決定した。log Kex 4. 95 (CH2C12), 4.85 (CHCl3) , 4.43 (CH2C1CH2C1)3.39 (C6H5C1), 2.31 (C6H5CH3) , 1.91 (m-(C1H3)2C6H4), 1.51 (C6H5CH ( CH3)2), 1.48 (CS2), 1.04(C2H50C2H5)の順に減少する。著者はIogKexが18-クラウン-6の分配係数の対数(10gKd,L)と直線関係を示すことを見いだした。本イオン対抽出系に正則溶液論を適応し,イオン対の溶解パラメーターおよびモル体積を12.3(ca1.cm-3)1/2.280cm3.mo1-1と決定した.さらにlogKexと10gKd,Lが直線関係を示し,傾きはイオン対と配位子のモル体積の比となることを正剛溶液論を用いて説明した。