著者
野坂 誠士 森田 克彦 村山 正毅
出版者
一般社団法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.348-352, 2020-07-15 (Released:2020-07-15)
参考文献数
9

症例は60歳代,男性.7年前に右下葉扁平上皮癌に対し,開胸下に中下葉切除術を施行した.術後4年目から咳,労作時呼吸苦などの呼吸器症状が出現してきた.術後7年目現在,CTで右上葉肺尖部に気管支拡張を伴う胸膜下コンソリデーションを認め,肺容量は顕著に低下している.呼吸機能検査では拘束型の低肺機能に陥っている.いわゆるPleuroparenchymal Fibroelastosis(PPFE)に相当する病態である.また術前のCTで右上葉にはPulmonary apical cap(PAC)病変が存在しており,開胸術による胸郭運動の制限,PACの存在が複合的に関与してPPFEを発症したと考えられる.開胸術後に術側肺に同様の変化をきたすことは稀ではなく,その発症要因を推測することは重要であるため,文献的考察を加えて報告する.