著者
野尻 健介
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3+, pp.209, 2018-05-01 (Released:2018-07-17)
参考文献数
4

香りの特徴や人物の印象は主に言葉で表現されるが,言葉のみでそれらの特徴や印象を伝達・共有することは難しい.そこで,「言葉」だけではなく「色」も利用することで,香りの特徴を容易に共有できるのではないかと考えた.PCCS表色系の有彩色30色と無彩色6色,および金銀(色紙)の合計38色を配置した色票を作成した.実験協力者は評価対象(香り,人物)の特徴に合致する色を色票から2色選択すると同時に,選択した2色の香りの特徴に対する寄与率も評価した.次に,この寄与率の集計結果に応じた枚数の各色のパネルを与え,体系的に配置することで評価対象に特徴的な色のパターンを作成した.この評価手法をAroma Rainbow®と名付けた.Aroma Rainbow®により香水の香りや人物を評価したところ,評価対象に特徴的な色パターンが得られた.また得られた色パターンの類似度を比較することで,同様の色イメージを有する香りや人物を抽出することが可能となった.本手法を応用することで人物の印象に合致した香水を提案できる可能性が強く示唆される.