- 著者
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野村 恭代
- 出版者
- 一般社団法人 日本社会福祉学会
- 雑誌
- 社会福祉学 (ISSN:09110232)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.3, pp.70-81, 2012-11-30 (Released:2018-07-20)
現在,精神障害者の地域移行が進められつつあるが,その実現には多くの障壁が立ちはだかる.その代表的なもののひとつが,精神障害者施設への地域住民からの反対運動などの「施設コンフリクト」である.精神障害者の地域移行を実現するためには,これらの問題を解決しなければならないが,精神障害者施設と地域住民とのコンフリクトに関し,現在,どこの地域で問題が発生しているのか,発生数はどのくらいであるのかなど,その現状を知る術はない.そこで,本研究では,1980年代および1990年代に実施された全国調査を概観するとともに,2000年以降の実態に関し,全国調査を行うことにより明らかにする.さらに,施設コンフリクトが発生した施設はどのような対処をしたのか,また,対処の結果どのような反応がみられたのかを検証し,コンフリクト発生から合意形成に至るプロセス(手段方法,要因)と合意形成との関連性について分析を行う.