著者
梶川 恒雄 野沢 立 尾張 幸久 藤澤 宏光 金子 卓司 野呂 一夫 高田 耕
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.92, no.5, pp.586-588, 2001-07-20
被引用文献数
2 2

左尿管結石に対するESWLにより,腸管穿孔を起こした症例を経験したので報告する.症例は69歳,男性で,1996年3月に両側総腸骨動脈瘤に対してグラフト置換術を受けていた.1999年2月,左側腹部痛が出現,レントゲン検査で左尿管結石の診断となった(lt.U1,14×8mm).結石は骨盤部まで下降後,下降しなくなったため,入院の上,3月30日,腹臥位でESWLを施行した.終了直後より左下腹部痛を訴え,鎮痛剤で治まらないため,3月31日,CTを施行した.明らかな異常所見を認めなかったが,その後も痛みが続き,4月2日には,筋性防御も認めるようになった.再度CTを施行したところ,free air,イレウス所見を認めたため,緊急手術を施行した.トライツ靭帯から130cmの空腸に,2mm大の穿孔を2カ所認め,ESWLによる腸管穿孔と診断した.術後経過は良好で,4月23日,退院となった.ESWLによる腸管穿孔は,極めて稀な合併症であるが,腸管の癒着の可能性のある既往歴,腹臥位でのESWLは,リスクファクターと考えられた.