著者
植田 康孝 野津 めぐみ
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
vol.32, pp.203-221, 2022-03-15

本稿は,リベル・エンタテインメントが提供しているスマートフォン向けアプリゲーム「A3!(エースリー)」を舞台化した,「MANKAI STAGE『A3!』」におけるキャラクターの感情や発言傾向を分析し,女性客が2.5 次元舞台でキャラクターらしさを感じる理由について考察することを研究目的とする。「MANKAI STAGE『A3!』」動画から音声合成技術を用いてテキスト変換,関連するウェブサイトや書籍で補足して,セリフからキャラクター達の特徴を挙げ,舞台における“らしさ”の表現を分析した。「MANKAI STAGE『A3!』」において「キャラクターのファンは,他のキャラクターとのやり取りで感じられる関係性から物語における“推しらしさ”を見出しており,舞台ではキャラクター同士の関係性を見せることで“らしさ”が表現されている」と仮説を立てた。本稿では,2020 年までに上演された公演の戯曲本全6 冊から劇中の会話データを抽出し,自然言語解析を用いてキャラクターごとに分析した結果を基にキャラクター同士の関係性や傾向などについて図表を作成することにより,仮説を検証した。使用したソフトは過去のデータをAI に学習させて言語理解力を培っている。人だのみでは素早く正確に分析することが出来ないため,恣意性を排除できる人工知能(AI)が最適な分析手法と捉えた。