著者
野津 佑太 後藤 嵩幸 橋本 剛
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.123-128, 2016-10-28

コンピュータ将棋の評価関数は,Bonanzaメソッドの考案により機械学習で値を決めることが一般になり,格段にレベルが向上した.現在では,プロ棋士との対局で勝利するなど,トッププロの実力を追い越そうとしている.しかし,中盤以降に比べて序盤が弱いという弱点も抱えている.将棋プログラムの強さは評価関数の精度で決まる.40駒からなる将棋の盤面を評価する際,一般には局面を駒数個からなる部分局面に分割し,足し合わせて評価を行う.現在の多くのプログラムは,駒組み合わせ全てを保持する評価関数を用いているため,3駒程度の少ない駒数にしか分割できない.そのため,序盤で特に重要な盤面の細かな違いを認識することが出来ない.高次元組み合わせ評価を行うためには,重要な駒組み合わせのみを評価する評価関数が必要である.後藤は,重要な駒組み合わせのみを抽出する評価項目自動抽出法を提案し,高次元組み合わせ評価が可能となることを示唆した.しかし,学習や対局中の探索時間が大幅に増加し,まだ実用レベルには至っていない.そこで本研究では,評価項目自動抽出法の高速化手法を提案する.高速化手法を実装し,高速化前のプログラムと速度比較実験・対局実験を行い,性能向上を確認した.