著者
野田 哲哉
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.275-281, 2001-07-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
17

動揺病の発症を最も説明できるのは感覚混乱説といわれているが、筆者には次のような疑問がある。感覚混乱の分類は適切か。自律神経症状の発現を説明できるのか。動揺病の発症に前庭が不可欠なのは本当か。これらの疑問に対する筆者の答えはいずれも否定的である。動揺病の発症には感覚混乱ではなく、平衡機能障害が重要な役割を果たしている。
著者
野田 哲哉 梅野 祐芳
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.809-812, 1997-11-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1

めまいや動揺病で現れる自律神経症状には悪心, 嘔吐, 顔面蒼白, 動悸, 冷汗などがあるが, この中で高頻度にみられる悪心に着目した. めまいを訴えて田川市立病院耳鼻咽喉科を受診した患者を対象として, めまい発作中の悪心と乗り物酔いを調べた. 悪心を伴う場合, めまい発作中に乗り物に酔いやすくなる割合は男性39%, 女性30%であり, 悪心がない場合, 乗り物に酔いやすくなる割合は男性3%, 女性17%であつた. 男女とも悪心を伴う者は伴わない者より, 有意にめまい発作中に乗り物に酔いやすくなる割合が高くなり, めまいと動揺病での自律神経症状の発現に共通の機序があるのではないかと考えた.