著者
野田 秀三
出版者
桜美林大学
雑誌
経営政策論集 (ISSN:13474634)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.23-45, 2007-03

平成9年(1997)以降の我が国の会社の組織再編成に関わる動向を明らかにし、企業結合法制と法人税法上の組織再編成税制とがどのように調整されてきたかを検討している。そこでは、企業結合会計と組織再編成税制とが一致している場合もあるが、組織再編成税制(合併、分割、現物出資、事後設立、株式交換、株式移転等)において、適格要件を満たしている場合は、帳簿価額による引継ぎで課税が繰り延べられているが、その場合の適格要件について明らかにしている。組織再編成税制において、適格要件を満たしていない場合は、時価譲渡となり資産等の移転に伴い、譲渡損益が生ずる。企業結合会計基準では、会社の組織再編成において、企業結合が取得である場合は、パーチェス法により被合併会社等を時価評価して引継ぎ、企業の持分の結合である場合は持分プーリング法により帳簿価額で引継ぐことになる。企業結合に係る組織再編成が行われた場合に、企業結合会計基準による会計処理と組織再編成税制における取扱いが異なることがある。そこで、企業結合会計基準と組織再編成税制の異同点を明らかにし、実務上では調整計算が必要となることを明示した。そして、企業結合会計基準と組織再編成税制との異同点並びに、今後の検討課題を明らかにしている。