著者
金 甲鉉
出版者
大阪市立大学大学院文学研究科 : 都市文化研究センター
雑誌
都市文化研究 = Studies in urban cultures (ISSN:13483293)
巻号頁・発行日
no.22, pp.75-80, 2020-03

はじめに : 中国書院研究は早く1920年代から始まり, 2000年代に入ってからその数が爆発的に増加し, 2005年以降毎年200件程度の研究が発表されている。その動向について簡単にまとめると, (1)多くの書院関連資料の整理による研究土台の構築, (2)書院の教育機能への関心が高く, 特に書院の官学化についての論議が多いこと, (3)2000年以降, 書院研究数が顕著に増加するが, その内容においては既存研究の成果を踏襲するものが多いこと, (4)研究分野の多様化(文学, 娯楽面など), (5)既存研究の再検討(地域社会や仏教との関係)などの特徴があるといえる。その中で現今までの書院研究は大きく2つの問題を抱えている。すなわち, 第一は研究対象に関する問題, 第二は扱っている史料に関する問題である。……