著者
清澤 毅光 安田 潤 金井 省二 勝田 雄吉 大田 春外 宮田 由雅
出版者
静岡大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

本年度の研究目的に沿ってまず実数体や複素数体上のバナッハ空間について図書、論文等により現在どのようなことが研究されているかの理解を深めた。さらに非アルキメデス的付値体上のバナッハ空間についての文献も調べ、世界の現状を把握した。また、学会、シンポジウム等に参加したり、研究分担者等との討論等を通してこの分野に関連する種々の知識を得た。これらのことを通して本年度主に研究したことは、1.バナッハ空間上のある種の分解について。2.コンパクト作用素の拡張。3.位相空間上の非アルキメデス的付値体に値をとる有界な連続関数の空間や第2次共役空間等における補空間をもつ部分空間について、である。そして得られた結果は、Kを非アルキメデス的付値体、E,FをK上のバナッハ空間とするとき次の通りである。1.については、(1)E上のSchauder分解は強収束するが一様収束はしない。(2)Kが球完備でEがGrothendieck空間のとき、EはSchauder分解をもたない、ことを示した。この結果はThe Rocky Mountain J.of Mathで発表されることになっている(現在校正済みである)。2.については、(1)Kが球完備のときEの部分空間からFへのコンパクト写像Tは、そのノルムを変えないでE全体で定義されFへのコンパクト写像に拡張できる。(2)Kが球完備でないときEがstrongly polarでFがpolarならば、Tは任意のε>oに対して、E全体からFへのコンパクト写像でそのノルムが||T||と(1+ε)||T||の間にあるものに接続できる、ことを示した。3.については、(1)BC(cl^n)_1)がCo(] SY.encircled+. [)Xと線形同型となるバナッハ空間Xが存在する。(2)Kが球完備でないときBc((Co)_3)がl^m(] SY.sym. [)Yと線形同型となるバナッハ空間Yが存在する、ことを示した。ただし(l^m)_1、(Co)_1はl^m、Coの元でノルムが1以下である全体である。2.、3.については、現在投稿中である。