2 0 0 0 VEC pattern

著者
金光 高雄 八尾 建史
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.607, 2017-05-24

定義 VEC(vessels within epithelial circle)pattern(円形上皮内血管パターン)とは,NBI併用拡大内視鏡観察において,正円形(circular)の腺窩辺縁上皮(marginal crypt epithelium ; MCE)で囲まれた円形の窩間部上皮下に血管が存在する所見である1)(Fig. 1,2). NBI併用拡大内視鏡により視覚化される正円形の上皮は,組織学的に乳頭状すなわち指状の突起部を縁取る腺窩上皮に対応する(Fig. 3).また,内視鏡で捉えられた円形上皮内の血管は,組織学的に指状の突起部の上皮下の間質に増生した血管に対応する(シェーマ).
著者
金光 高雄 八尾 建史 宮岡 正喜 小島 俊樹 中馬 健太 長谷川 梨乃 池園 剛 大津 健聖 小野 陽一郎 植木 敏晴 太田 敦子 田邉 寛 原岡 誠司 岩下 明德
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.215-220, 2019-02-25

要旨●乳頭腺癌は管状腺癌と比べ,病理学的に生物学的悪性度が高いと報告されている.しかし,従来の通常内視鏡観察では乳頭腺癌を診断することは不可能であった.筆者らは,拡大内視鏡観察において円形の腺窩辺縁上皮で囲まれた円形の窩間部上皮下の間質に血管が存在する特徴的な所見を“vessels within epithelial circle(VEC)pattern”と呼称し,乳頭状の分化腺癌に特徴的な所見であると報告した.以前筆者らの報告した症例対照研究より,術前に分化型癌と診断された早期癌において,NBI併用拡大内視鏡により視覚化されるVEC patternが組織学的乳頭状構造を診断するうえで有用であったと報告した.さらに,VEC pattern陽性の早期胃癌の約1/4の病変に未分化型癌の混在や粘膜下層浸潤を認め,VEC patternが術前に癌の高い悪性度を予測するうえで有用なマーカーとなる可能性が考えられた.