- 著者
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島袋 桂
斎藤 美希
島袋 愛
金城 淳
幸地 将希
金城 太志
金城 昇
- 出版者
- 日本健康教育学会
- 雑誌
- 日本健康教育学会誌
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.1, pp.13-27, 2018
<p>目的:本研究では楠木の戦略理論を参考に,コンセプトを「パートナーづくり」,しかけを「競走」とした健康づくりプロジェクト戦略モデルを作成し,戦略に沿って実践した運動キャンペーン「貯歩っとレース」のプロセス評価を行った.</p><p>事業/活動内容:沖縄県A村では,平成20年度から健康づくりプロジェクトが展開され,ステークホルダーへのフォーマティブリサーチにより,地域住民のつながりが強い等の特徴が明らかにされた.その資源を活かすために,平成24年度から新しい戦略を導入した.一定期間の歩数を記録する「貯歩っとレース」の内容も地域の特徴を活かした形に変更された.その評価のために,戦略変更前後の参加者1,087名への調査と住民2名にインタビューを行った.</p><p>事業/活動評価:戦略変更前後を比較した結果,「貯歩っとレース」の平均参加者数は46.8名から137.8名に増加し,記録シートの提出率は46.8%から75.3%に増加した.また,国が推奨する目標歩数を超えた参加者も増加した他,非活動的な住民も参加者に取り込めたことが示唆された.インタビューから,住民同士の呼びかけで参加者が集まっていたこと,特に「貯歩っとレース」後にウォーキングを実施する住民の増加が確認された.</p><p>今後の課題:「パートナーづくり」と「競走」による戦略モデルの有効性が示唆され,参加者増加や事業後の運動実施等の成果があった.地域と関わりがない住民へのアプローチが今後の課題となる.</p>