著者
上田 信 金子 啓一 上田 恵介 阿部 珠理 佐々木 研一
出版者
立教大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1998

前年度から引き継がれた問題点前年度は、NGOに関する情報収集と、NGOに関心を持つ大学教員に対する聞き取り調査を行い、基本的な認識を得るように努めた。今年度は、研究の焦点を緑化NGOに定め、その行為に参画し、実践的に研究を進めた。(1) 緑化リーダー養成講座GENは中国の沙漠化地域の一つである山西省の高度高原において、現地の青年連合会とパートナーシップを組んで緑化活動を行っている。そのなかで、現地の植生の調査、育苗・植林技術の向上、病害虫被害の分析などにおいて、大学教員や元教員と連携を図っている。その主なメンバーを招き、「緑化リーダー養成講座」というタイトルのもと、講演会を開催し、そのNGO経験に関するデータを集めた。(2) ワーキングツアーチコロナイは北海道でアイヌ民俗が多く住むニ風谷において、アイヌ文化の基盤となる森林の再生を目的とするナショナルトラスト活動である。毎年、数度にわたり現地においてワーキングツアーを企画しており、上田が参加して大学とのパートナーシップの可能性を探った。その結果、ナショナルトラスト活動は自然と文化と生活とを総合的に考察する機会を与えるものであり、ワーキングツアーは有効な教育の場となりうることが明らかとなった。(3) 文学部集中合同講義「アジア・開発・NGO」大学の学生のNGOに対する取り組みを調べるために、文学部の集中合同講義にNGOを取り上げた。学生にNGOが企画したシンポジウムやイベントの情報を提供し、興味を持ったものに参加するように促した。その結果、学生のNGOに対する目を開かせるためには、きめの細かいサポートが必要であることが明らかとなった。(4) サポートセンターの必要性以上の研究・調査の結果、大学とNGOのパートナーシップを構築するためには、両者の事情に精通したものがマッチンキグさせるための第三者的なサポート体制をつくる必要があることが明らかとなった。今後は、そのサポートセンターの設立の条件などについて、実践的に研究を展開させてゆきたい。