著者
大野 美幸 野津 直子 金津 久美子
出版者
松江市立病院
雑誌
松江市立病院医学雑誌 (ISSN:13430866)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.47-52, 2008 (Released:2019-08-03)
参考文献数
2

5 階西病棟は脳神経疾患の患者が7 割を占めている。多くは高次脳機能障害をきたし、点滴ルートや尿管、胃管カテーテルの自己抜去行為も頻繁に認め、安全のためミトンや抑制帯による抑制を行っている。しかし、抑制解除の評価が難しく、一度始めた抑制がなかなか外せない現状にある。そこで、抑制解除の要因を明らかにすることを目的に、看護師10 名に半構成的面接法を行い、そこから得たデータを質的帰納的に分析した。その結果、看護師が抑制を解除できると判断した要因として、3 つのカテゴリーと9 つのサブカテゴリーが抽出された。看護師は、【抑制解除につながる患者側の要因】として、《抜去に及ばない程度の理解力がある》《抜去しようとするしぐさがない》《看護師で補える程度のリスク状態》を見極めていた。また【抑制解除を促す看護師の介入】として、《抑制しない工夫》《他職種へのはたらきかけ》《ゆとり(業務のゆとり、看護師の経験からくるゆとり、目が届く)》を、さらに【抑制解除につながる看護師側の要因】として、《抑制への罪悪感》《家族への配慮》《抑制解除の成功体験》を挙げ、抑制解除につなげていることが明らかとなった。