著者
鈴木 利根
出版者
日本神経眼科学会
雑誌
神経眼科 (ISSN:02897024)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.22-27, 2014-03-25 (Released:2014-07-11)
参考文献数
20
被引用文献数
5

重症筋無力症は神経筋接合部が障害される自己免疫疾患である.抗アセチルコリン受容体抗体や抗MuSK抗体が病因と深く関わり,その他にも抗横紋筋抗体などの関連自己抗体が近年報告されている.発症年齢は幼児期と高齢者に2峰性に頻度が高いとされるが,高齢発症の重症筋無力症患者が最近は増加傾向にある.高齢発症者では抗アセチルコリン受容体抗体や抗横紋筋抗体の陽性率が高いことなどから,若年発症者とは病態が異なるとの示唆もある.重症筋無力症の至適治療に関して基準になるエビデンスはいまだないが,抗コリンエステラーゼ阻害薬に比べて,この20年間は副腎皮質ステロイド薬や,免疫抑制剤,胸腺摘出などの免疫治療の比率が増加している.