著者
鈴木 栄貴
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.49, 2012 (Released:2012-09-24)

【目的】大根の乾物である切干大根は近年健康食品として評価されている。著者らは農水産物に光(UV-A、青)を照射すると旨味成分である遊離アミノ酸が増加することを報告している。この研究結果を元に、光照射を行う光源を用いた機械乾燥が天日で乾燥したものと遜色がないかを検討するため、大根を様々の光を照射して乾燥して切干大根を製造し、遊離アミノ酸、GABA、抗酸化性および色彩を測定した。【方法】実験材料として、愛知県知多半島で栽培された大根を使用し、それぞれUV-A、青、非照射の3つ分けて2日間光源付き乾燥器で乾燥させ、天日干し切干大根と比較した。乾燥させた大根は前処理を行い、高速液体クロマトグラフィーで遊離アミノ酸量とGABAの分析を行い、抗酸化性は分光光度計を用いて測定した。【結果】分析の結果、遊離アミノ酸・GABA共に光照射乾燥した大根の方が増加しており、各アミノ酸では旨味成分であるグルタミン酸、甘味成分であるプロリン、苦味成分であるバリンが増加した。遊離アミノ酸総量は平均で、非照射に比べて天日干しが1.37倍、UV-A照射が1.33倍、青照射が1.09倍と増加した。GABAも非照射に比べ天日干しが2.64倍、UV-A照射が2.64倍、青照射が2.82倍増加した。このことから天日干し切干大根のおいしさはUV-Aのような太陽の波長の短い光の効果であることが判明した。