著者
高木 敏彦 向井 啓雄 池田 竜司 鈴木 鐵男
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.733-738, 1994
被引用文献数
4 11

寒害によって生じたビワの種子枯死果の肥大発育と収穫果の品質に及ぼすジベレリンならびにホルクロルフェニュロンの散布処理の影響について調査し, 無核果生産の可能性について考察した.<BR>1.GAとKTの併用処理によって, 種子枯死果の果実肥大は有核果に相当する程度まで促進された. また, その果形は細長く, 果肉の厚い果実であった.<BR>2.寒害遭遇直後の処理による肥大効果は著しく,時間をおいて処理した場合には, 処理による効果が小となった. また, 年内に寒害に遭遇し, 種子の枯死した果実にKTの併用処理を行うと肥大効果はより大であった.<BR>3.寒害遭遇直後の処理果では, 着色の促進, 糖含量低下の傾向が見られ, とくに肥大の著しかったGAとKTの併用処理で果汁のBrixが著しく低下した.
著者
向井 啓雄 高木 敏彦 手島 洋二 鈴木 鐵男
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.479-485, 1996-12-15
被引用文献数
5 7

秋季にウンシュウミカン樹に強度と弱度の水ストレス処理(それぞれWS-s区およびWS-m区とする)を行い,果実各部位における糖含量を測定した.<BR>水ストレス処理により果皮と果汁の糖,特に還元糖が増加した.果皮においては特にフルクトースの増加が顕著であった.これらのことは水ストレスの程度が強い方が著しかった.<BR>WS-s区では果汁,果皮ともスクロースの増加の抑制が認められた.11月26日においてWS-s区の果皮の糖含量はWS-m区のそれよりも低い傾向であった.<BR>果梗部の方が果頂部に比べて糖含量は低いが,還元糖の比率が高かった.この傾向は水ストレス処理を行っても変化しなかった.<BR>果実部位やストレスの程度にかかわらず,水ストレス処理によって還元糖の増加が認められた.このことは蓄積部位でのスクロースの分解によるものなのか,あるいは転流段階での分解なのかについては今後の検討課題である.