1 0 0 0 OA 絵本諸芸錦

著者
鈴木, 春信
出版者
山崎金兵衛
巻号頁・発行日
1763

鈴木春信の風俗絵本。半紙本3巻合1冊。墨摺、一部手彩色。江戸・山崎金兵衛板。宝暦13年(1763)朧月、浪華禿帚子序。序に「茲年何某の画工、芸能の区々分れたるを、山城のこまかに毫生にあらはし、金山堂の主これを錦となづけて」云々とある。内容は、伎楽、能(高砂)、狂言(末広)、囃子、馬術、流鏑馬、剣術、弓術、鉄砲、和歌、聞香、生け花、蹴鞠、茶の湯、俳諧、楊弓、囲碁、カルタ、双六、学問、手習い、絵、琵琶、琴、三味線、踊り、相撲、万度祓いなどで、芸能、武術、音曲、学芸、遊戯など、広きに亘って当時の貴賎老若男女の諸芸、趣味を取り上げる。春信の絵は当時の風俗をよく表し、該当する諸芸について教訓、諺に結び付けた詞書きを、上部の雲形の内に記す。(鈴木淳)(2016.2)

1 0 0 0 OA 絵本童の的

著者
鈴木, 春信
出版者
山崎金兵衛
巻号頁・発行日
vol.上, 1767

鈴木春信画。女性向け教訓絵本。明和4年(1767)初春序。墨摺り。半紙本1冊。上巻のみ存。刊記はなく、奥付に山崎金兵衛の広告を付すが、初板元は江戸美濃屋平七であることが知られている。題の由来は、浪花禿帚子の序に「古き書より正しき的を撰出し、鈴木氏の筆に写、幼稚の目を喜めんと梓に鐫ける」とあるとおり、道徳の規範となるべきことを、古書や諺に探り、絵画化したもので、題材は和漢、古今に渉る。たとえば、『徒然草』の「色このまざらん男はいとさう/\しく玉の盃のそこなき心地す」という詞章を引き、その解釈を試み、「人は情をしれといふ事也、しかるを男女のたはふれとのみ心得たるは誤也」として、色欲を戒めた例などがある。絵は、伊勢物語49段と目され、同趣の絵がすでに石川豊信の『絵本俚諺草』(当館請求記号:わ-46)に見える。(鈴木淳)

1 0 0 0 OA 絵本春の錦

著者
鈴木, 春信
出版者
山崎金兵衛

鈴木春信画。女性風俗絵本。半紙本2冊。明和8年(1771)正月、江戸山崎金兵衛梓。色摺り。春信が没した翌年の刊行。碧玉堂の序に「案に今めかしき風俗を画しわ鈴木氏筆に有、よつて其毫を需て、世に触し錦絵の彩色をくわへ、錦の文字を相続て、春の錦と題し」云々とあり、山崎金兵衛が刊行した春信絵本の中では最初の彩色摺り絵本。上部を雲形に枠取りして和歌を記し、その和歌の意を表した絵を描くという趣向。和歌の出典は明和元年刊の『新続題林和歌集』で、春信は、往来物などの傾向と軌を一にして、当時の堂上歌人の和歌を集めた類題集によって古歌を引くことが多い。色は主に淡色を用い、背景の塗りつぶしや白抜き模様など、彩色の技術を凝らす。描かれる女性の大半は遊女、芸者で、着物は、無紋が多い。和歌的情緒を醸した上品な絵本に仕上げられている。(鈴木淳)