- 著者
-
鈴木, 春信
- 出版者
- 山崎金兵衛
- 巻号頁・発行日
- vol.上, 1767
鈴木春信画。女性向け教訓絵本。明和4年(1767)初春序。墨摺り。半紙本1冊。上巻のみ存。刊記はなく、奥付に山崎金兵衛の広告を付すが、初板元は江戸美濃屋平七であることが知られている。題の由来は、浪花禿帚子の序に「古き書より正しき的を撰出し、鈴木氏の筆に写、幼稚の目を喜めんと梓に鐫ける」とあるとおり、道徳の規範となるべきことを、古書や諺に探り、絵画化したもので、題材は和漢、古今に渉る。たとえば、『徒然草』の「色このまざらん男はいとさう/\しく玉の盃のそこなき心地す」という詞章を引き、その解釈を試み、「人は情をしれといふ事也、しかるを男女のたはふれとのみ心得たるは誤也」として、色欲を戒めた例などがある。絵は、伊勢物語49段と目され、同趣の絵がすでに石川豊信の『絵本俚諺草』(当館請求記号:わ-46)に見える。(鈴木淳)