著者
鍋島 啓太 渡邉 研斗 水野 淳太 岡崎 直観 乾 健太郎
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.461-484, 2013-06-14 (Released:2013-09-14)
参考文献数
14
被引用文献数
1

東日本大震災では,「コスモ石油の爆発で有害物質の雨が降る」などの誤情報の拡散が問題となった.本研究の目的は,東本日大震災後 1 週間の全ツイートから誤情報を網羅的に抽出し,誤情報の拡散と訂正の過程を分析することである.本稿では,誤情報を訂正する表現(以下,訂正パターン)に着目し,誤情報を認識する手法を提案する.具体的には,訂正パターンを人手で整備し,訂正パターンにマッチするツイートを抽出する.次に,収集したツイートを内容の類似性に基づいてクラスタリングし,最後に,その中から誤情報を過不足なく説明する1文を選択する.実験では,誤情報を人手でまとめたウェブサイトを正解データとして,評価を行った.また,誤情報とその訂正情報の拡散状況を,時系列で可視化するシステムを構築した.本システムにより,誤情報の出現・普及,訂正情報の出現・普及の過程を分析できる.